【皮膚】犬の膿皮症はなぜ繰り返す? 皮膚科専門医が膿皮症のインフォームで話していること

こんにちは。アジア獣医皮膚科専門医の馬場です。
今回は私が実際に膿皮症を診察した時のインフォームでお話していることを記事にしました。

犬の皮膚に赤いブツブツやかさぶたができる「膿皮症(のうひしょう)」。
「抗菌薬を飲むと良くなるけれど、やめるとまた再発する」という相談をよくいただきます。

実は、膿皮症を繰り返す犬では、細菌を退治するだけでは根本的な解決にならないことがあります。

膿皮症の原因菌は、もともと皮膚にいる?

膿皮症は、主にブドウ球菌が増殖することで起こる皮膚の細菌感染症です。

このブドウ球菌は、外から突然やってきた細菌ではなく、健康な犬の皮膚にも存在する「常在菌」です。
健康な皮膚では、細菌と皮膚がうまくバランスを保っています。しかし、何らかの原因で皮膚のコンディションが悪くなると、そのバランスが崩れ、細菌が増殖して膿皮症を引き起こします。

なぜ何度も繰り返すの?

膿皮症を繰り返す犬では、皮膚のコンディションを悪くする原因が隠れていることがあります。

代表的なのが、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーです。また、中高齢犬では甲状腺機能低下症などのホルモンの病気が関係することもあります。

抗菌薬で一時的に細菌を減らしても、皮膚のコンディションが悪いままでは、再び膿皮症を起こしてしまいます。

そのため、繰り返す膿皮症では「なぜ細菌が増えてしまうのか」を調べることが重要です。

なぜ最初から抗菌薬を飲まないの?

当院では、比較的浅い部分の膿皮症に対して、まずシャンプーや消毒薬などの外用療法をおすすめすることがあります。

皮膚は体の外側から直接治療できるため、飲み薬を使わなくても改善が期待できるからです。
また、抗菌薬を繰り返し使用すると、薬が効きにくい「薬剤耐性菌」が増える可能性があります。

そのため、2025年に改訂された国際的なガイドラインでも、浅い部分の膿皮症では外用療法が優先されています。

もちろん、症状が重い場合や外用療法で改善しない場合には、抗菌薬の内服が必要になることもあります。

まとめ

膿皮症の治療で大切なのは、今ある細菌感染を治すことと、再発する原因を見つけることの両方です。

当院では、まず2〜3週間を目安に外用療法を行いながら、必要に応じてアレルギーやホルモンの病気などを調べていきます。

何度も膿皮症を繰り返している場合は、細菌だけでなく、皮膚のコンディションを悪くしている原因にも目を向けてみましょう。