【皮膚】食物アレルギーと診断して症状改善!

こんにちは。東京動物皮膚科センターの馬場です。
今回は食物アレルギーで、フード変更後に皮膚症状が良化した症例のご紹介です。

■ 食物アレルギーって何?

「食物アレルギー」とは、食事に含まれる特定の成分(主にたんぱく質)に対して、免疫が過剰に反応してしまう病気です。その結果として、かゆみや皮膚炎、消化器症状(下痢・嘔吐)などが現れます。

ちなみに、「食べて体に合わない」からといってすべてがアレルギーとは限りません。例えば乳糖不耐症や中毒など、免疫が関与しない場合は「食物不耐性」と呼ばれます。

■ 犬の食物アレルギーの症状

犬の場合、以下のような症状が多く見られます:

  • 四肢のかゆみ
  • 顔、耳、口まわりの赤みやかゆみ
  • 耳のトラブル(外耳炎)
  • 体幹の赤みや脱毛、フケ
  • 下痢や軟便、嘔吐

■ 診断には「除去食試験」が必須!

食物アレルギーを診断するための“ゴールドスタンダード”が、「除去食試験」です。これは、これまでに食べたことのない食材を使ったフード(新奇たんぱくや加水分解食)を一定期間与えて、症状が改善するかどうかを確認する方法です。

  • 期間:基本は8週間(効果が出にくい場合は最大13週まで)
  • 食事内容:今まで食べたことのない原材料を使ったフードや加水分解フード
  • おやつ・サプリ・フレーバー薬:原則中止(どうしてもあげるなら新奇たんぱくのおやつ)

この期間に症状が改善すれば、次に「負荷試験」を行い、再び症状が悪化するかを確認します。

■ 除去食試験、ここが大変!

  • 今までの食事を覚えていない
  • 療法食を嫌がって食べない
  • どうしてもおやつをあげたくなる…

こうしたハードルもありますが、診断のためには正確な除去食試験が必要不可欠です。一緒にサポートしますので、お気軽にご相談ください。

■ 食物アレルゲンになりやすいものって?

海外の研究によると、アレルゲンとなりやすい食材は次のとおりです

  • 牛肉
  • 乳製品
  • 鶏肉
  • 小麦
  • 大豆
  • 卵 など

ただし、アレルゲンは個体差が大きいため、「何がダメか」は基本的に除去食試験や負荷試験でしか分かりません。


この子は、除去食試験を実施して症状が明瞭に改善した症例です。
現在は食べられるフードや原材料を探して、さまざまな食材にトライしてもらっています。

☑まとめ

✔ かゆみが治らない…それ、食事のせいかも?
✔ 食物アレルギーの診断は除去食試験がカギ!
✔ フード選びや管理は獣医師・看護師にご相談ください!


ご不明な点があれば、お気軽に当院スタッフまでお問い合わせください。
「最近皮膚のかゆみがひどくなった」「薬を飲んでも改善しない」など、いつもと違うサインがあれば、早めのご相談をおすすめします。