【歯科】猫の歯周病の写真|歯肉炎から重度歯周病まで治療例で解説

猫の歯周病は見た目でどこまで進行しているかわかる?

「猫の歯が黄色い」
「歯ぐきが赤い」
「口臭が気になる」

そんな症状がある場合、歯周病が始まっている可能性があります。

しかし実際には、

  • 歯肉炎
  • 軽度歯周病
  • 中程度歯周病
  • 重度歯周病

で治療内容や予後は大きく異なります。

今回は実際の症例写真をもとに、猫の歯周病がどのように進行するのかを解説します。


猫の歯周病とは?

猫の歯周病の比較写真

歯周病とは、

歯垢(プラーク)

歯石

歯肉炎

歯槽骨吸収

という流れで進行する病気です。
初期は歯ぐきだけの炎症ですが、進行すると歯を支える骨まで失われてしまいます。


① 歯肉炎|まだ元に戻せる段階

歯肉炎の猫の歯の写真

歯ぐきに赤みが見られますが、歯を支える骨の破壊は起きていません。

この段階では

  • 歯ぐきが赤い
  • 軽い口臭
  • 歯石が付着している

程度の症状しか出ないこともあります。

【治療内容】

  • スケーリング(歯石除去)
  • 歯面研磨

麻酔時間は30分ほど、場合によっては鎮静麻酔で完遂することもできます。
炎症は改善し、健康な歯肉へ回復しました。


② 軽度歯周病|歯を支える組織が壊れ始める

軽度歯周病の猫の歯の画像

歯肉炎が進行し、

  • 歯周ポケット形成
  • 軽度の歯槽骨吸収

が始まった状態です。
見た目は歯肉炎と大きく変わらないこともあります。

【治療内容】

  • スケーリング
  • ルートプレーニング
  • キュレッタージ

を実施しました。

麻酔時間は40分ほどで、全身麻酔下で行います。
歯根表面の細菌や炎症組織を徹底的に除去します。治療後は炎症の改善が期待でき、歯の保存は容易に可能でした。


③ 中程度歯周病|抜歯を検討する段階

中程度歯周病の猫の歯の写真

歯槽骨の吸収が進行し、

  • 歯肉退縮
  • 出血

などが認められる状態です。

この段階になると、歯を残す治療または抜歯のどちらが良いか慎重な判断が必要になります。

【治療内容】

本症例では

  • 歯周外科治療
  • 歯根面清掃

を行い歯を温存しました。ただし症例によっては抜歯が推奨されることもあります。
麻酔時間は1時間程度、全身麻酔で治療を行いました。
治療によって炎症は改善し、機能的な歯を維持することができました。


④ 重度歯周病|感染源の除去が最優先

重度歯周病の猫の歯の写真

歯を支える骨の大部分が失われ、

  • 歯がグラグラする
  • 出血
  • 強い口臭
  • 根尖膿瘍

などが認められます。
この段階では歯の温存が難しいことが多く、抜歯が必要になります。

【治療内容】

  • 抜歯
  • 歯肉縫合
  • 感染組織除去

を実施しました。
治療時間は1時間ほどで、全身麻酔下での治療でした。
感染源が除去され、歯肉は良好に治癒しました。


猫の歯周病と慢性腎臓病の関係

猫では歯周病は口の中だけの病気ではありません。
近年の研究では、中等度以上の歯周病がある猫では慢性腎臓病(CKD)のリスクが高まることが報告されています。
歯周病による慢性的な炎症や細菌感染が、

  • 腎臓
  • 心臓
  • 全身の免疫機能

に影響している可能性が考えられています。


治療のベストタイミングは「軽度歯周病」

歯周病は進行するほど

  • 抜歯本数が増える
  • 麻酔時間が長くなる
  • 治療費が増える
  • 歯を失う可能性が高くなる

という特徴があります。

特に猫は症状を隠すため、

「口臭だけだった」
「歯石が少し付いているだけだった」

と思っていたら中程度以上の歯周病だったというケースも少なくありません。
そのため、歯肉炎〜軽度歯周病の段階で治療を行うことが最も大切です。


まとめ|猫の歯周病は写真で見るより早期発見が重要

  • 歯肉炎なら比較的簡単な処置で改善できる
  • 軽度歯周病なら歯を残せる可能性が高い
  • 中程度歯周病では抜歯が必要になることもある
  • 重度歯周病では抜歯が中心になる
  • 歯周病は慢性腎臓病のリスク因子でもある

「歯石が少し付いているだけ」と思っていても、歯科レントゲンでは進行した歯周病が見つかることがあります。

愛猫の健康寿命を延ばすためにも、早期の歯科検診をおすすめします。