猫の口の中のしこりは見た目だけでは判断できません
「口の中にできものがある」
「歯ぐきが腫れている」
「最近ごはんを食べづらそう」
猫の口腔内にできる腫瘤(しこり)は珍しくありません。
しかし実際には、
- 炎症性病変
- 良性腫瘍
- 悪性腫瘍
まで様々な病気が含まれており、見た目だけで判断することはできません。
今回は、左上の口唇粘膜にしこりができた猫ちゃんの症例をご紹介します。
症例紹介|口が痛くて食べられなくなった猫

今回の患者さんは猫ちゃんです。
飼い主様は
- 左上の口の中にしこりがある
- 痛そうにしている
- 食欲が落ちてきた
ことを心配され来院されました。
診察では、左上顎の口唇粘膜にドーム状の腫瘤が認められました。
口腔内腫瘤では悪性腫瘍が隠れていることもあるため、まず原因を明らかにすることが重要です。
口の中のしこりはまず精密検査が大切
口腔内腫瘤では、
- 歯周組織由来腫瘍
- 扁平上皮癌
- 線維肉腫
- 炎症性病変
などを鑑別する必要があります。
そのため本症例では全身麻酔下で
- 口腔内精査
- 歯科レントゲン検査
- 切除生検→病理組織検査
を実施しました。
口腔内腫瘤は早期診断が非常に重要であり、見た目だけで様子を見ることはおすすめできません。
治療|歯冠切除と生活歯髄切断

また、この猫ちゃんは2年前に上顎犬歯を抜歯していました。
その結果、残った下顎犬歯が上唇の粘膜に接触し続け、慢性的な刺激と外傷が発生していたと考えられました。
実際に腫瘤はちょうど下顎犬歯が当たる位置に形成されていました。
腫瘤の生検と同時に、原因と考えられる下顎犬歯に対して
- 歯冠切除(クラウンリダクション)
- 生活歯髄切断(Vital Pulp Therapy)
を実施しました。
生活歯髄切断とは、露出した歯髄の一部を除去し、特殊な材料で保護することで歯を残す治療です。
これにより、
- 粘膜への接触を解消
- 歯を温存
- 将来的な外傷を予防
することができます。
病理検査結果
摘出した腫瘤は病理検査へ提出しました。
結果は慢性活動性・潰瘍性・増殖性口唇炎という診断でした。
腫瘍性変化は認められず、慢性的な刺激や外傷に対する炎症反応と考えられました。
悪性腫瘍ではなかったため、追加治療は行わず経過観察となりました。
猫の口の中のしこりで注意したいこと
猫の口腔内腫瘤には、
- 炎症性病変
- 良性病変
- 悪性腫瘍
が含まれます。
特に猫では、
- 扁平上皮癌
- 線維肉腫
など重篤な腫瘍が発生することもあるため、
「ただの腫れだろう」
と判断せず、病理検査による確定診断が重要です。
まとめ|猫の口の中のしこりは早めの検査を
- 猫の口の中のしこりは見た目だけでは診断できない
- 歯科レントゲンや病理検査が重要
- 慢性的な刺激が原因で腫瘤を形成することもある
- 悪性腫瘍との鑑別のため生検が必要
- 原因を取り除くことで改善するケースもある
猫の口の中にしこりや腫れを見つけた場合は、早めの検査をおすすめします。