東京動物皮膚科センター こんにちは。
東京動物皮膚科センター／神宮前動物病院 歯科診療担当、獣医師の森田です。
「歯ぐきが下がって、歯の根っこが見えているような気がする」
そんなご相談をよくいただきます。
今回は、「露出根（歯根の露出）」という状態について、その原因や治療法を解説します。
露出根とは？
本来、歯の根っこ（歯根）は歯ぐきと骨の中に埋まっています。
しかし、歯周病の進行や加齢などの理由で歯ぐきが退縮すると、根の部分が表面に現れることがあります。
これが「露出根（ろしゅつこん）」と呼ばれる状態です。
露出根が起きる主な原因
- 歯周病（最も多い原因）
・歯垢・歯石の蓄積によって歯肉が炎症を起こし、下がってしまう - 不適切なブラッシングや外傷
・硬い歯ブラシや力の入れすぎで、歯肉が傷つき退縮 - 噛み合わせの異常や過度な負荷
・咬合のバランスが崩れることで、歯肉や骨が圧迫・吸収される - 加齢による生理的な歯肉退縮
・特にシニア犬猫でよく見られます
🩺 露出根がもたらす問題点
- 知覚過敏（痛み・しみる）
- 歯のぐらつき
- 根面う蝕（歯根の虫歯）
- 細菌の温床になりやすく、歯周病の悪化を招く
一見、小さな変化でも、根の露出は歯の寿命に直結する問題です。
治療と管理の選択肢
露出根の治療は、原因や程度に応じて選択されます。
軽度の場合：
- スケーリング・ルートプレーニングによるプラーク除去
- 歯肉マッサージやブラッシング指導
- フッ素やコーティング剤の塗布
中等度〜重度の場合：
- 歯周外科手術（フラップ手術）
- 再生療法（PRFや骨補填材の併用）
- 必要に応じて抜歯（機能が失われている場合）
※歯周病治療と合わせて行うことで、歯肉の回復や再付着が期待できます。
早期発見・早期対応がカギです
根が見えてきたと感じたら、まずは動物病院でのチェックをおすすめします。
歯周ポケットの深さや歯の動揺、レントゲンでの骨の状態を確認し、適切な治療計画をご提案します。
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東京動物皮膚科センター／神宮前動物病院（歯科診療 担当：森田）
TEL：03-3403-8012