こんにちは。
東京動物皮膚科センター/神宮前動物病院の歯科診療担当、獣医師の森田です。
「うちの子、もう高齢だけど麻酔して大丈夫ですか?」
これは日々の診療で、最も多く寄せられるご相談のひとつです。
今回は、シニアのわんちゃん・ねこちゃんの歯科処置における麻酔リスクや、治療の進め方について解説します。
🐾 高齢動物でも歯科治療は可能です
確かに、加齢とともに麻酔リスクは高まります。
ただし「年齢=麻酔不可」ではありません。
当院では、15歳以上のシニア動物でも安全に歯科処置を行った実績があります。
重要なのは、術前評価と管理の徹底です。
術前検査で「今の状態」を見極めます

麻酔前には、以下のような全身の精査を行います:
- 血液検査(腎臓・肝臓・貧血・炎症マーカー)
- レントゲン検査(心臓・肺の状態)
- 超音波画像診断検査(心臓病の有無や重症度)
これらの検査をもとに、麻酔の可否と適切な管理法を判断します。
💉 麻酔時の管理は「麻酔認定医」が対応
当院の歯科処置では、日本獣医麻酔外科学会動物麻酔技能認定医が麻酔管理を担当してます。
- 麻酔薬の選択・調整
- 生体モニタリング(血圧・酸素・CO₂・心電図など)
- 必要に応じた点滴・酸素投与・保温などのサポート
高齢動物に対しても、全身状態に合わせた麻酔を実施しています。
⚠️ 放置によるリスクのほうが高いケースも
「心配だから何もしない」と放置してしまうと、かえって以下のような問題が起きることもあります:

- 歯周病が進行して激しい痛みや膿漏が起こる
- 食事が取れず栄養状態が悪化
- 口腔鼻腔瘻や顎骨折など重篤な合併症へ進行
- 細菌が血流に乗り、腎臓・心臓病の悪化
このように、「治療しないこと」がリスクになることもあるのです。
👨👩👧👦 ご家族との相談も丁寧に行います
当院では、無理に治療を押しつけることはありません。
ご家族の気持ちや不安を伺いながら、
- どこまで治療を望まれるか
- 負担を最小限にする方法(短時間処置、部分的治療など)
- 麻酔以外でできるケア(内服、洗浄など)
などを一緒に考え、納得していただいたうえで治療方針を決定します。
✅ まとめ|「年齢=麻酔不可」ではありません
- 高齢動物でも麻酔対応と安全管理で治療は可能
- 放置すると口腔内の痛み・感染・全身疾患のリスクあり
- 術前検査やご家族との相談を大切に、個別対応しています
「ずっと口が臭い」「ご飯の食べ方が変わった」「麻酔が心配」
そんなお悩みがある方は、ぜひ一度ご相談ください。
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東京動物皮膚科センター/神宮前動物病院(歯科診療担当:森田)
TEL:03-3403-8012