歯科担当の森田です!このコラムでは歯科レントゲンの重要性について解説します。
「歯はキレイに見えるし、大丈夫そう」
そんなふうに思っていても、犬や猫の歯の病気の多くは“見えない場所”で静かに進行しています。
そしてそれを見つけるために重要なのが、「歯科レントゲン検査」です。
歯科レントゲンって、どんなもの?

歯のレントゲンでは、歯の根っこ(歯根)や、あごの骨の内部まで確認することができます。
外から見ただけでは分からないトラブルたとえば、
- 歯の根に膿がたまっている
- 歯を支える骨が溶けている
- 歯の中が虫歯のように壊れている
こうした状態は目では確認できないため、レントゲンがなければ見逃してしまいます。
見た目がキレイでも、実は歯周病が進行している?
犬や猫は痛みを隠すのが上手なため、トラブルがあっても普通にごはんを食べていたり、元気に見えることも珍しくありません。

写真の下顎大臼歯に注目してみましょう。
一見、歯石の付着もほぼなく綺麗に見えますが、歯科レントゲンを撮ってみると…

このようにはを支える歯槽骨が溶けて、歯周病がかなり進行していることがわかります。
また、小型犬など顎が小さい犬種は歯を抜く際に顎骨を骨折したり、歯の根っこ付近を走っている大血管から出血するリスクがあります。
レントゲン検査は、こうした“静かな病気”を早期に発見する手がかりとなるだけでなく、処置の合併症のリスク評価にも役立ちます。
治療や抜歯の判断
「抜く?残す?様子を見る?」――
こうした治療の判断においても、レントゲンによる客観的な評価がとても重要です。
見た目だけでは判断がつかないケースでも、内部の状態をしっかり確認することで、不要な処置を避けたり、逆に必要な治療を見逃さないようにできます。
全身麻酔が必要
歯科レントゲンは、動かずにじっとしてもらう必要があるため、基本的には全身麻酔下で行います。
これには以下のようなメリットとリスクがあります:
■ 全身麻酔のメリット
- 痛みや不快感を感じさせず、安全に精密検査や治療が可能
- お口のすみずみまで丁寧に処置ができる
- 動かないことで誤診やケガのリスクが減る
■ 全身麻酔のリスク
- ごく稀に、体調や基礎疾患によって麻酔の影響が大きくなることがある
- シニアや持病のある子は、事前の検査で慎重な判断が必要
しかし現在では、血液検査や心臓のチェックなどを事前にしっかり行うことで、安全性を高めることが可能です。
当院でも、年齢や体質に応じた麻酔計画を立て、最大限の安全を確保しています。
「元気だから大丈夫」と思わずに
症状が出てからでは、すでにかなり病気が進行していることも少なくありません。
定期的な歯科検診やレントゲン検査は、愛犬・愛猫の「健康寿命」を守る第一歩です。
まとめ
- 歯科レントゲンで歯の根やあごの骨の異常がわかる
- 見た目では判断できない病気の早期発見・早期治療に役立つ
- 精密検査には全身麻酔が必要
- 麻酔にはリスクもあるが、事前の検査や管理でリスクを最小限にできる
見えないところまでしっかり診ることで、あなたの大切な家族がいつまでも笑顔でごはんを食べられる未来を守りましょう。
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