小型犬では歯周病が原因で顎の骨が折れることがあります

「最近、口を気にするようになった」
「顎をカクカクさせる」
「ご飯を食べにくそう」
このような症状がある場合、重度の歯周病が進行している可能性があります。
特にチワワやトイプードル、ヨークシャーテリアなどの小型犬では、歯周病によって顎の骨が大きく溶け、病的骨折を起こすことがあります。
今回は、重度歯周病による病的骨折のリスクが高かった8歳チワワの症例をご紹介します。
症例紹介|8歳 チワワ
今回来院したのは8歳のチワワです。
飼い主様は、
- 最近口を気にする
- 食べ方がぎこちない
ことを心配され受診されました。
口腔内を確認すると、下顎第一後臼歯(大臼歯)に強い動揺を認めました。
見た目だけでも重度歯周病が疑われたため、全身麻酔下で歯科レントゲン検査を実施しました。
歯科レントゲンで分かったこと

歯科レントゲンでは、
- 下顎第一後臼歯の重度歯周病
- 歯槽骨の著しい骨吸収
- 下顎骨が非常に薄くなっている
ことを確認しました。
この状態では歯を残すことは難しく、そのまま放置すると歯周病がさらに進行し、顎の骨が折れてしまう可能性がありました。
小型犬はなぜ顎が折れやすい?
犬の下顎骨は犬種によって大きさが異なります。
大型犬では十分な骨幅がありますが、小型犬ではもともと骨が細く、歯の根が骨の大部分を占めています。
そのため歯周病によって骨が失われると、骨の厚みがほとんど残らなくなることがあります。
特に注意が必要なのが、
- 下顎第一後臼歯
- 下顎犬歯
周囲の歯周病です。
これらの歯は骨への負担が大きく、病的骨折を起こしやすい部位として知られています。
抜歯にも骨折のリスクがあります
重度歯周病では抜歯が必要になりますが、実は抜歯そのものにも骨折のリスクがあります。
無理に歯を抜こうとすると、
- 骨に過度な力が加わる
- 薄くなった骨が割れる
- 下顎骨骨折を起こす
危険性があります。
そのため当院では事前に歯科レントゲンで骨の状態を十分に評価し、骨を折らないように慎重に抜歯処置を進めます。
必要に応じてリッジプリザベーションという抜歯した部位に骨を誘導するような治療を行う場合もあります。
今回行った治療
今回は、
- 歯を慎重に分割
- 骨へ余計な力をかけないように抜歯
- 周囲の感染組織を十分に除去
する方法で抜歯を行いました。
できるだけ下顎骨への負担を減らすことで、安全に治療を進めることができました。
術後は顎骨骨折などの合併症は認められず、口を気にする様子も改善し、普段通りご飯を食べられるようになりました。
顎をガクガクさせる場合は歯周病が原因かもしれません
重度歯周病では、
- 顎をカクカク動かす
- 口を気にする
- 硬い物を食べなくなる
- 顔を触られるのを嫌がる
- 強い口臭がある
といった症状がみられることがあります。
高齢だから仕方ないと考えず、一度歯科検査を受けることをおすすめします。
まとめ
- 小型犬では歯周病によって下顎骨骨折を起こすことがある
- 特に下顎第一後臼歯や犬歯の重度歯周病は注意が必要
- 歯科レントゲンで骨の状態を評価することが重要
- 抜歯にも骨折リスクがあるため、慎重な術式が求められる
- 顎をガクガクさせる、口を気にする場合は早めの受診がおすすめ
当院では、歯科レントゲンによる精密検査を行い、骨折リスクまで考慮した歯科治療を行っています。小型犬の歯周病や抜歯についてご不安なことがあれば、お気軽にご相談ください。