【症例紹介】歯石は早期に治療することが重要〜1歳中型犬の歯石除去について〜

結論|犬の歯石は「軽いうちに取る」が一番負担が少ない

子犬と成犬が向き合っている写真

犬の歯石について、

  • 「麻酔が怖い」
  • 「もう少し様子を見てもいいのでは?」

と悩まれる方は多いです。

しかし実際には、歯石は早い段階で処置するほど、短時間・低負担で終えられることが多いです。

今回は、1歳中型犬の歯石除去症例をもとに、歯石処置と麻酔の考え方について解説します。


🐶症例紹介|1歳中型犬「奥歯の歯石が気になる」

主訴は

  • 奥歯に歯石がついている
  • 口臭が少し気になる

というものでした。

診察では

  • 臼歯に軽度の歯石沈着
  • 歯肉の軽度発赤

を認めました。


🩺治療内容|スケーリング+ポリッシング

犬の奥歯の歯石除去治療の前後比較写真

全身麻酔下で

  • 超音波スケーリング(歯石除去)
  • 歯面研磨(ポリッシング)
  • 歯科用レントゲン

を実施。

結果として

  • 抜歯なし
  • 切開なし
  • 縫合なし

で処置を完了しました。

麻酔時間:約45分

非常にスムーズに終了しました。


なぜ全身麻酔が必要なのか?

犬の歯石除去は、基本的に全身麻酔下で行う処置です。

理由は以下の通りです。

  • 歯肉ポケットの奥まで清掃する必要がある
  • 無麻酔では精密な処置ができない
  • 抑え込みによるストレス・外傷リスクがある

見える歯石だけを取っても、歯周病の原因は取りきれません。


🔍早期処置 vs 放置でここまで変わる

今回の症例は軽度でしたが、歯石を放置するとどうなるかというと👇


【早期】今回のようなケース

  • 麻酔時間:約45分
  • 抜歯なし
  • 回復が早い
  • 費用・負担が最小限

【進行】歯周病が進んだ場合

歯周病が進行した口腔内の写真
抜歯処置を行った手術後の口腔写真
  • 麻酔時間:2時間以上
  • 抜歯多数
  • 骨吸収あり
  • 積極的な入院・疼痛管理が必要

つまり、同じ「歯石」でも、タイミングで治療内容が大きく変わります。


⚠️歯石を放置すると起こること

歯石は単なる見た目の問題ではありません。

進行すると

  • 歯周病
  • 歯の動揺・脱落
  • 歯根膿瘍
  • 口腔鼻腔瘻(くしゃみ・鼻水)
  • 下顎骨骨折(特に小型犬)

などにつながることがあります。

そして結果的に

麻酔時間の延長=リスク増加

につながります。


🐾まとめ|歯石は「軽いうちに」が一番安全

  • 犬の歯石は放置すると歯周病へ進行
  • 早期なら短時間麻酔で処置可能
  • 進行すると抜歯・長時間手術になる
  • 麻酔リスクは“処置の遅れ”でも上がる

今回の症例のように、

軽いうちに対応することで負担を最小限にできるケースは多いです。


🏥歯科診療について

東京動物皮膚科センター/神宮前動物病院

当院では

  • 歯科用レントゲンによる精密診断
  • 全身麻酔下スケーリング
  • 抜歯・歯科外科

などを行っています。

「まだ軽いから様子見でいいかな?」
という段階こそ、判断の分かれ目になることがあります。