「猫の牙が伸びてきた」は病気のサイン?
「最近、猫の牙が前より長く見える」
「歯がグラグラしている」
このような症状で来院される猫ちゃんは少なくありません。
実は、牙そのものが伸びているのではなく、歯周病によって歯ぐきが下がり、歯が長く見えているケースが多くあります。
今回は、歯が伸びてきたように見えた猫ちゃんの症例をご紹介します。
症例紹介
- 12歳 ブリティッシュショートヘア
- 主訴:歯がグラグラする・牙が伸びてきたように見える
口腔内を詳しく検査したところ、両側の上顎犬歯に重度の歯周病を認めました。
歯を支える骨(歯槽骨)が大きく失われており、犬歯は著しく動揺していました。
歯科レントゲン検査でも保存は困難と判断し、全身麻酔下で両側上顎犬歯の抜歯を実施しました。

なぜ牙が長く見えるの?
歯周病が進行すると、
- 歯ぐきが下がる
- 歯を支える骨が溶ける
- 歯がぐらつく
ようになります。
その結果、本来歯ぐきの中に隠れていた部分が露出し、牙が伸びたように見えるのです。
実際には歯が伸びているわけではなく、歯を支える組織が失われている状態です。
上の犬歯を抜歯するときに重要なこと
猫では、上顎犬歯を抜歯したあとに下顎犬歯が上唇に当たってしまうことがあります。
通常は上顎犬歯がストッパーの役割をしていますが、抜歯すると噛み合わせが変化し、
- 上唇に刺さる
- 唇を傷つける
- 慢性的な潰瘍になる
可能性があります。
そのため、当院では手術前に必ず噛み合わせ(咬合)を十分に確認し、抜歯後に問題が起こらないかを評価しています。
必要に応じて、術後にも咬合を再確認し、唇への接触がないことを確認しています。
猫の歯周病は痛みを隠します
猫は痛みを我慢する動物です。
重度の歯周病でも、
- 普通にご飯を食べる
- 鳴かない
- 元気そうに見える
ことが珍しくありません。
しかし、歯がぐらつくほど歯周病が進行している場合は、慢性的な痛みを抱えていることがほとんどです。
「牙が伸びた」と感じたら早めの受診を
「年齢だから仕方ない」と思われがちですが、
- 歯が長く見える
- 歯がグラグラする
- よだれが増えた
- 口臭が強くなった
といった変化は、重度歯周病のサインかもしれません。
特にシニア猫では進行していることも多いため、早めの歯科検査をおすすめします。
歯科レントゲンを用いた精密検査により、歯を残せるかどうかを正確に判断し、それぞれの猫ちゃんに適した治療をご提案いたします。