猫の歯周病で「牙が伸びたように見える」ことがあります
「猫の牙が急に長くなった気がする」
「片方だけ犬歯が伸びたように見える」
「歯ぐきが腫れている」
このような症状は、実際に歯が伸びたのではなく、歯周病や歯根膿瘍(しこんのうよう)が原因で起こることがあります。
猫では虫歯や歯周病が進行すると歯を支える骨(歯槽骨)が溶け、歯ぐきが下がることで、犬歯が以前より長く見えることがあります。
今回は、写真で見る猫の歯周病の一例として、犬歯の歯根膿瘍を起こした症例をご紹介します。
症例紹介|写真で見る猫の歯周病

来院時の主訴は
- 牙が長くなったように見える
- 口臭が気になる
- 食べづらそう
でした。
口腔内を確認すると、片側の犬歯が反対側より長く見え、歯ぐきの腫れと排膿を認めました。
一見すると「牙が伸びた」ように見えますが、実際には歯周病が進行し、歯を支える組織が破壊されたことで犬歯が露出している状態でした。
歯科レントゲンで原因を確認
見た目だけでは、
- 歯周病
- 歯根膿瘍
- 破歯細胞性吸収病変(TR)
- 腫瘍
- 外傷
などを区別することはできません。
全身麻酔下で歯科レントゲン検査を行ったところ、
- 犬歯根尖部の骨融解
- 歯根周囲の感染
- 歯根から歯冠にかけての吸収病巣
を認め、犬歯の歯根膿瘍と診断しました。
猫の歯周病で牙が長く見える理由
歯周病が進行すると、
- 歯槽骨が吸収される
- 歯ぐきが下がる
- 歯が浮き上がる
といった変化が起こります。
その結果、歯が伸びたのではなく、見えている部分が増えたため長く見えるのです。
このような変化は、飼い主さんが自宅で気付きやすい歯周病のサインの一つです。
治療
(術後写真)
今回の症例では、
- 犬歯の抜歯
- 感染組織の徹底的な除去
- 歯肉縫合
を行いました。
術後は口臭も改善し、食欲も回復しました。
猫の歯周病は写真だけでは診断できません
歯周病の進行具合は、口の中の写真だけでは正確に判断できません。
特に猫では、見た目以上に歯を支える骨が失われていることも少なくありません。
そのため、適切な治療方針を決めるには、
- 歯科レントゲン検査
- 歯周ポケット検査
- 口腔内全体の評価
が重要です。
まとめ|写真で見て気になったら早めに受診しましょう
「猫の牙が伸びたように見える」と感じた場合、その背景には歯周病や歯根膿瘍が隠れていることがあります。
特に、
- 片方だけ犬歯が長く見える
- 歯ぐきが腫れている
- 口臭が強い
- 食べにくそう
といった症状がある場合は、歯科疾患が進行している可能性があります。
写真だけでは正確な診断はできないため、早めに動物病院で歯科検査を受けることをおすすめします。