【歯科】犬の歯周病は「抜歯」だけじゃない?治療で歯を残した2年後の経過報告

「愛犬が重度の歯周病で抜歯しかないと言われた」「どうしても歯を残してあげたい」とお悩みの飼い主様は少なくありません。
今回は、重度歯周病に対して「歯周組織再生治療」を行い、2年以上良好な状態を維持できている9歳のトイプードルの症例をご紹介します。


犬の歯周病、「抜歯」が必要?

犬の歯周病が進行すると、歯を支える骨(歯槽骨)が溶け、最終的には歯が抜け落ちたり、顎の骨折を引き起こしたりします。

これまでは「骨が溶けている=抜歯」が標準的な治療でした。しかし、条件が整えば抜歯を回避し、自分の歯を温存できる可能性が広がっています。


【症例紹介】9歳トイプードルの歯周病治療と2年後の経過

今回の患者さんは、右下顎の一番大きな奥歯(第一後臼歯)に重度の骨吸収が見られた7歳9ヶ月(治療当時)のトイプードルちゃんです。

初回検査・治療時の状態

  • 検査: 歯科レントゲン及びプロービング検査にて、深い歯周ポケットを確認。
  • 診断: 歯周骨が大きく融解しており、通常なら「抜歯適応」となる重度歯周病。
  • 方針: 飼い主様の「可能な限り残したい」という強いご希望により、骨組織誘導治療を実施しました。

実施したプロトコル

  1. 感染除去: 病変部の徹底的なデブライドメント(清掃)。
  2. 骨補填材の充填: 歯根面を処理し、骨増生を促す材料を補填。
  3. PRFの併用: 自己血由来の再生因子(PRF)を用い、治癒を促進。

治療から2年が経過した現在

再生治療から2年が経過しましたが、経過は非常に良好です。

  • 改善: 重度だった歯周病は、現在「軽度」の状態まで改善・安定。
  • メンテナンス: 現在は1年に1回の定期的な鎮静麻酔下での歯石除去(クリーニング)のみで、歯を抜かずに維持できています。
  • QOL: 自分の歯でしっかり噛めるため、食事の楽しみも損なわれていません。

治療の適応となる条件とは?

すべての歯が適応になるわけではありません。以下の条件が揃っている場合、温存できる可能性が高まります。

  • 骨の溶け方: 垂直的な骨欠損(特定の場所が深く溶けている)であること。
  • ホームケア: 飼い主様が治療後のブラッシングや定期検診に協力的であること。
  • 全身状態: 麻酔リスクが許容範囲内であること。

犬種、歯並び、年齢、飼い主様のご意向など様々な要素を加味して抜歯も含めた最適な治療をご提案させて頂きます。