【歯科】短頭種に多い歯周病①

歯科担当の森田です!
鼻ぺちゃで愛嬌のある顔立ちが魅力のフレンチ・ブルドッグやパグ、シーズーなどの“短頭種”は、日本でもとても人気の高い犬種です。
しかし、その特徴的な骨格が、実は「歯の病気」と密接に関係していることをご存じでしょうか?

短頭種の「歯並び」

短頭種は、その名の通り頭蓋骨が短く、上下の顎が押し縮められたような構造をしています。これにより、歯が本来並ぶべきスペースが狭くなり、特に切歯(前歯)や前臼歯(犬歯の後ろの小さな歯)が重なり合うように生えてしまうことが多くなります。

この歯の叢生(そうせい:歯のガタガタ)によって歯と歯の間に食べかすや汚れが溜まりやすく、歯周病菌の温床となります。
また、歯ブラシが届きにくいため、飼い主が日常的にケアしづらい部位でもあります。

静かに進行する歯周病

歯周病は、歯垢・歯石に含まれる細菌が歯ぐきに炎症を起こし、やがて歯を支える骨(歯槽骨)を溶かしてしまう疾患です。切歯や前臼歯は唇で隠れて見えにくい位置にあるため、病気がかなり進行するまで気づかれないことが少なくありません。

短頭種では、

  • 歯ぐきの後退(退縮)
  • 歯がぐらつく
  • 膿や出血、悪臭
  • 噛みづらそうにする

などの症状が出たときには、すでに歯槽骨の吸収が進行している可能性があります

歯だけの問題ではない歯周病

「ただの口の病気」と思われがちな歯周病ですが、重度になると全身に影響を与えることもあります。歯周病菌が血流に乗って心臓や腎臓に到達することで、心内膜炎や腎障害の一因になることがあると、研究でも報告されています。

また、上顎の切歯や前臼歯の感染が進むと、鼻腔とつながる瘻管(ろうかん)ができてしまい、くしゃみや鼻水、鼻出血といった症状を引き起こすこともあります。

毎日の予防と早期発見がカギ

短頭種の歯周病予防には、以下のようなポイントが重要です:

  • 歯磨きを習慣化する(特に前歯や奥の小さな歯)
  • 歯ブラシが届きにくい部位にはデンタルジェルや歯みがきシートを併用
  • 定期的に動物病院で歯科検診を受ける
  • 3〜5歳以降は**麻酔下の歯科X線検査(レントゲン)**を検討する

歯周病は「痛い」や「つらい」を言葉で伝えられない犬たちにとって、とても苦しい病気です。特に短頭種は、生まれ持った構造からどうしてもリスクが高くなってしまいます。

だからこそ、飼い主さんの“気づき”と“予防ケア”が、彼らの未来を守る第一歩になります。

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