【歯科】生後5ヶ月の猫の不正咬合〜上顎犬歯が舌を傷つけるケースと、早期抜歯という選択〜

結論|猫の不正咬合は対側の組織侵襲があるかが重要ポイント

生後数ヶ月の子猫の写真

猫の歯並びの異常(不正咬合)は、見た目だけでなく口腔内の粘膜や舌を傷つける原因になることがあります。

特に犬歯の位置異常では、

  • 舌や歯肉粘膜を傷つける
  • 慢性的な痛みが生じる
  • 食事やグルーミングに影響する

といった問題が起こることがあります。
今回は、生後5ヶ月の猫で上顎犬歯が口蓋側へ変位した症例をご紹介します。


猫の不正咬合とは?

猫の口腔写真。奥歯の咬合異常と犬歯の咬合異常。

不正咬合とは、歯の位置や噛み合わせが正常な位置からずれている状態を指します。
猫では次のようなタイプが見られることがあります。

  • 犬歯が内側(口蓋側)に生える
  • 下顎が短い/長い
  • 歯の回転や位置異常

軽度の場合は経過観察となることもありますが、粘膜を傷つける場合は治療が必要になることがあります。


症例紹介|生後5ヶ月の猫

今回の症例は、生後5ヶ月の猫です。

口腔内を確認すると、

  • 左上顎犬歯が口蓋側(口の内側)へ変位
  • 犬歯が舌に接触

していました。

その結果、舌の粘膜にびらん(表面の傷)が形成されていました。
このまま放置すると、

  • 舌の慢性炎症
  • 痛みによる食欲低下
  • さらに深い潰瘍

につながる可能性があります。


治療の選択|犬歯の抜歯

この症例では、犬歯の抜歯を選択しました。
若齢動物では矯正を検討するケースもありますが、

今回の場合は

  • 舌を傷つけている
  • 犬歯の位置異常が強い

という点から、早期に原因を除去することを優先しました。


閉鎖式抜歯という方法

閉鎖式抜歯した猫の犬歯。傷口が小さい。

今回の処置では**閉鎖式抜歯(クローズドエクストラクション)**を行いました。
閉鎖式抜歯では

  • 歯肉の切開を最小限にする
  • 周囲組織の損傷を減らす
  • 抜歯後の傷を小さくする

といったメリットがあります。

また今回の症例では、上顎骨の構造を温存した状態で抜歯を行うことができました。


術後のポイント

若齢猫では、処置後も成長が続くため

  • 咬み合わせの変化
  • 他の歯の位置

などを経過観察することが大切です。
不正咬合は早い段階で発見するほど治療の選択肢が広がることがあります。


まとめ|猫の歯並びの異常は早期チェックを

猫の不正咬合では以下のポイントが重要です。

  • 舌や口蓋を傷つけることがある
  • 痛みがある場合は治療が必要
  • 若齢期の診断が重要

今回の症例では、舌のびらんの原因となっていた犬歯を抜歯することで、口腔内の刺激を取り除くことができました。
子猫の歯並びは成長とともに変化することもありますが、「舌や歯ぐきを傷つけている場合」は早めの評価が重要になります。