【歯科】骨折リスクのある抜歯処置④

こんにちは。東京動物皮膚科センター 歯科診療担当獣医師の森田です。

犬や猫でよく見られる歯周病。
放置すると顎の骨が折れる「病的骨折」にまで進行することがあります。
当院ではなるべく歯を温存する治療方針を取っていますが、重度の歯周病では抜歯が必要となるケース
もあります。

今回は、犬の下顎第一臼歯の抜歯と骨折リスクについて、症例をもとに解説します。


🦷 歯がグラグラしている?それは歯周病のサインかも

ある小型犬の患者さんが「下の奥歯(第一臼歯)がグラついている」と来院されました。
見た目には軽度の歯石と歯肉の後退しかないように見えましたが、綿棒で押すとかなりの動揺がありました。

そのため、全身麻酔下で精査と治療を行うことにしました。


🔍 レントゲン検査でわかった「重度歯周病と骨吸収」

歯科用レントゲンで確認すると、歯を支える歯槽骨の大部分が黒く抜けており、骨吸収が進行していました。

このような状態では、歯を残すとかえって下顎骨の破折(病的骨折)リスクが高くなるため、慎重に抜歯を行いました。


⚠️ 小型犬は下顎骨折のリスクが高い

特に小型犬は顎の骨が細く、歯周病による骨吸収によって骨がもろくなりやすい傾向があります。
さらに、歯根の近くには大きな血管が通っているため、処置には高度な注意と診断が必要です。

当院では、安全性を確保するために:

  • 歯科レントゲンによる精査
  • 症例ごとの麻酔リスク評価
  • 骨折や出血リスクを最小限にする外科計画

を徹底しています。


✅ 治療後も歯を守る取り組みを

この子は無事に抜歯処置を終え、残った歯を守るために毎日の歯磨きをスタートしています。
歯周病が進行してからの治療は動物にとっての負担が大きくなるため、定期的な歯科検診と早期治療がとても重要です。


🐾 お口の不調、こんな症状は要注意

  • 歯がグラグラしている
  • 口臭が強くなった
  • ごはんの食べ方に違和感がある
  • 口を触られるのを嫌がる

これらは歯周病や骨吸収のサインかもしれません。
気になる症状がある場合は、できるだけ早めにご相談ください。


🏥 東京動物皮膚科センターでは

当院では、犬・猫の歯科治療に特化した診療を行っています。
重度歯周病や抜歯、歯科用レントゲンを用いた診断、全身麻酔管理など、専門的な治療に対応可能です。

東京都渋谷区・港区で、ペットの歯の健康に不安がある方は、ぜひご相談ください。
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03-3403-8012(歯科診療担当 森田まで)