こんにちは、東京動物皮膚科センターの馬場です
今回は、わんちゃんの「足の炎症(とくに指の間)」に対して行われるレーザー治療についてご紹介します。
🐕 指の間が赤い?
わんちゃんが足先をしきりになめたり、指の間が赤く腫れていたりすることはありませんか?
これらは「指間炎(しかんえん)」や「足の皮膚炎」とよばれる状態で、さまざまな原因が関わっていることが多いです。
たとえば:
- 細菌や真菌(カビ)などの感染
- ダニなどの寄生虫
- ホルモンの異常
- アトピー性皮膚炎
- 自己免疫疾患や無菌性の炎症
などなど……。実は、ひとつだけでなく複数の要因がからみ合っていることも少なくありません。まずは正しい診断がとても大切です!
💡 レーザー治療ってどんなもの?
最近では、このような足の炎症に対して、低出力レーザー治療(Low-level laser therapy / LLLT)が補助療法として使われるようになってきました。
この治療は、
- 痛みやかゆみ、炎症をやわらげる
- 自己外傷(なめ壊し)を減らす
- 傷の治りを早め、傷あとを残しにくくする
- 血流を良くして、深部の感染にも効果的な環境を作る
などのメリットがあります✨

🧪 実際の効果は?
いくつかの研究では、毎日レーザーを照射したことで「無菌性の指間炎」が改善したという報告もあります。一方で、アトピー性皮膚炎のわんちゃんでは、明らかな差が出なかったという研究もあります。
ですが、症状の軽減はみられたという結果もあり、補助的な治療として注目されています。
⚠️ レーザー治療をするときの注意点
- まずは原因の診断が第一です。 感染や基礎疾患の治療が優先です。
- 炎症の強さに応じて頻度を決めますが、まずは弱めの出力で連日3日間程度から開始します。
- 症状が落ち着けば、2~3日に1回の照射に切り替えることもあります。
- 足の裏だけでなく、表側・裏側の両方に照射します。
- 安全のため、飼い主さんやスタッフの目の保護にも注意します。
🐾 レーザー治療はこんなわんちゃんにおすすめ!
- なめ壊しがひどく、治りにくい指間炎がある
- 薬の使用を減らしたい(特にステロイド)
- 傷あとをできるだけ残したくない
- 痛みやかゆみを少しでも和らげてあげたい
レーザー治療はあくまで「補助的な治療」ですが、正しく使えばわんちゃんの負担をぐっと減らすことができます。当院では、皮膚病に特化した診療の一環として、このような先進的な治療にも対応しています。
もし、レーザー治療などにご興味がある方はぜひ一度ご相談ください。