【皮膚】犬のアトピー・アレルギー治療薬②

アポキルとゼンレリア、どちらを選ぶ?

こんにちは、馬場です。

前回は、アポキルとゼンレリアがどちらも「JAK阻害薬」というグループに属する一方、異なる成分のお薬であることを解説しました。

では実際に、
「うちの子にはどちらがいいのでしょうか?」
という疑問について考えてみましょう。

初めて使うなら、どちらでも選択肢になります

現在までの研究では、アポキルとゼンレリアはいずれも犬のアトピー性皮膚炎に対する有効性が確認されています。

そのため、初めてJAK阻害薬を使用する犬では、どちらから治療を始めてもよいと考えています。
一方、実際に使用してみると、犬によって反応には違いがあります。

アポキルでは十分にかゆみを抑えられなかった犬が、ゼンレリアに変更すると調子が良くなることがあります。もちろん、その逆もあります。
そのため、「一度使って効かなかったからJAK阻害薬は効かない」と判断するのではなく、もう一方の薬を試してみることも選択肢になります。

大きな違いのひとつが「投薬回数」

アポキルは通常、治療開始時には1日2回、最大14日間投与し、その後1日1回に変更します。

一方、ゼンレリアは治療開始時から1日1回です。
毎日の投薬は、思っている以上に飼い主さんと犬の双方に負担になることがあります。

特に「薬を飲ませるのが大変」という犬では、最初から1日1回で使用できることがゼンレリアを選択する理由のひとつになるかもしれません。
反対に、アポキルには嗜好性を高めたチュアブルタイプもあるため、「錠剤を飲ませるのは難しいけれど、味付きなら食べてくれる」という犬では大きなメリットになります。

症状によって使い分けることも

症状の程度も薬を選ぶ際の判断材料になります。
例えば、朝も昼も夜も絶えず掻いているような強いかゆみがある場合には、治療開始時に1日2回投与できるアポキルを選択することがあります。

一方で、ゼンレリアは作用するJAKの範囲が異なるため、かゆみだけではなく皮膚の炎症やただれが目立つ症例などで選択肢になることがあります。

ただし、これは「この症状なら必ずこちら」というものではありません。
年齢、皮膚症状、感染症の有無、これまで使用した薬、投薬のしやすさなどを総合して判断します。

アポキルとゼンレリアは一緒に飲ませる?

基本的には、アポキルとゼンレリアを同時に使用することはありません。

同じJAK阻害薬に分類されるため、「片方だけでは足りないから両方飲ませよう」という使い方ではなく、効果が不十分な場合には治療内容そのものを見直します。

薬を変更することで改善することもありますが、細菌や酵母の感染、食物アレルギーなど、かゆみを悪化させている別の原因がないかを確認することも非常に重要です。

次回は、症状が良くなったあとに多くの飼い主さんが悩む、

「いつまで薬を飲ませるの?」
「良くなったら減らしていいの?」

という疑問について解説します。