歯ぐきにできものを見つけたら、まず「様子見」はおすすめできません
「歯ぐきにピンク色のできものがある」
「歯の間にしこりができている」
「最近少しずつ大きくなっている気がする」
犬や猫の口の中にできる”できもの”にはさまざまな原因があります。
一見するとどれも似て見えますが、
- 炎症による腫れ
- 良性腫瘍
- 悪性腫瘍
では治療方法や予後が大きく異なります。
そのため、できものを見つけた場合は早めに診断を受けることが重要です。
症例紹介|歯ぐきにできたしこり

今回ご紹介する症例では、左上顎の小臼歯の間に歯ぐきから連続する腫瘤を認めました。
見た目だけでは、
- 炎症
- 良性腫瘍
- 悪性腫瘍
の区別はできません。
そのため、まずは原因を調べることが最優先となります。
歯ぐきのできものにはどんな病気がある?
① 炎症性肉芽・炎症性エプリス
歯周病や歯石による慢性的な炎症が原因で歯ぐきが増殖した状態です。
原因となる歯周病を治療することで改善するケースも少なくありません。
② 良性腫瘍
代表的なものとして、
- 末梢性歯原性線維腫(POF)
- 棘細胞性エナメル上皮腫
- 線維腫
などがあります。
良性であっても徐々に大きくなったり、歯や顎骨へ影響を及ぼしたりすることがあるため、外科切除が必要になる場合があります。
③ 悪性腫瘍
犬や猫では、
- 悪性黒色腫(メラノーマ)
- 扁平上皮癌
- 線維肉腫
などが代表的です。
悪性腫瘍では局所浸潤だけでなく転移を起こすこともあるため、早期診断・早期治療が非常に重要です。
動物病院ではどのように診断する?
歯ぐきのできものでは、見た目だけで診断することはできません。
そのため当院では次のような流れで診断を進めています。
視診・触診
まず、
- 大きさ
- 色
- 可動性
- 出血
- 歯との位置関係
を確認します。
歯科レントゲン
全身麻酔下で歯科レントゲンを撮影し、
- 歯根との関係
- 歯槽骨への浸潤
- 骨融解
などを評価します。
生検・病理検査
最終診断は病理組織検査で行います。
小さな組織を採取し、専門機関で詳しく調べることで、
- 炎症
- 良性腫瘍
- 悪性腫瘍
を確定診断できます。
病理結果によって、
- 経過観察
- 内科治療
- 外科切除
- 顎骨切除
- 放射線治療
など最適な治療方針を決定します。
今回の症例の診断
病理検査の結果、この症例は歯肉炎に伴う炎症性エプリスと診断されました。
悪性腫瘍ではありませんでしたが、見た目だけでは判断できない典型的な症例でした。
歯ぐきのできものを見つけたら早めの受診を
次のような変化がある場合は、できるだけ早く動物病院で診察を受けましょう。
- 少しずつ大きくなっている
- 出血している
- 潰瘍になっている
- 食べづらそう
- 口臭が強くなった
- 歯がぐらついている
高齢の犬や猫では口腔腫瘍の発生率も高くなるため、「様子を見る」よりも早めに原因を調べることが大切です。
まとめ
- 歯ぐきのできものには炎症・良性腫瘍・悪性腫瘍がある
- 見た目だけでは区別できない
- 歯科レントゲンや病理検査による診断が重要
- 早期診断によって治療の選択肢が広がる
愛犬・愛猫の口の中に気になるしこりや歯ぐきの腫れを見つけた場合は、早めの受診をおすすめします。