犬の歯茎の腫瘤は「様子見」せず、早めの検査が重要です
「歯ぐきにピンク色のできものがある」
「最近大きくなってきた気がする」
このような口腔内の腫瘤(しこり・できもの)は、犬では珍しくありません。
しかし実際には、
- 良性腫瘍
- 歯周組織由来の腫瘍
- 悪性腫瘍
など様々な病気が含まれており、見た目だけで良悪性を判断することはできません。
今回は、10歳のラブラドールレトリバーの歯肉腫瘤についてご紹介します。
症例紹介|10歳ラブラドールレトリバー

今回の患者さんは、10歳のラブラドールレトリバーです。
飼い主様が「歯ぐきに腫れ物があり、少しずつ大きくなっている」
ことに気づき来院されました。
かかりつけの先生に一度切除していただいたそうですが、再発してしまったとのことです。
診察では、上顎切歯〜犬歯付近にかけて、歯肉から隆起するピンク色の腫瘤を確認しました。
歯科レントゲンと外科切除を実施
口腔内腫瘤では、
- 歯周組織への浸潤
- 顎骨への影響
- 周囲歯牙との関係
を確認することが非常に重要です。そのため今回も全身麻酔下で
- 歯科レントゲン検査
- 腫瘤切除(発生歯の抜歯)
- 病理組織検査
を実施しました。

🔬病理診断|Peripheral Odontogenic Fibroma(POF)
病理検査の結果、末梢性/周辺性歯原性線維腫(Peripheral Odontogenic Fibroma:POF)と診断されました。
これは以前、
- 線維腫性エプリス
- 骨形成性エプリス
などと呼ばれていた、歯周組織由来の良性腫瘍です。
歯周組織由来腫瘍(POF)とは?
POFは歯根膜や歯周組織など、歯の周囲組織から発生する腫瘍です。
犬では比較的多い口腔腫瘍で、
- 歯ぐきが盛り上がる
- 出血する
- 歯を押して動かす
などの特徴があります。多くは良性ですが、取り残しによる再発や骨への浸潤を起こすこともあるため注意が必要です。
犬の口腔内腫瘤で重要なこと
口腔内腫瘤では、
- 見た目だけで判断しない
- 病理検査を行う
- 必要に応じCT検査を行う
ことが重要です。
特に悪性腫瘍の場合、
- 顎骨切除
- 放射線治療
などが必要になるケースもあります。
術後3週間の経過

術後は良好に経過しており、
- 創部治癒も順調
- 食欲も維持
- 再出血や感染もなし
という状態です。現在も継続して経過観察を行っています。
🐾まとめ|犬の歯ぐきの“できもの”は早めの検査を
- 犬の歯肉腫瘤には様々な病気がある
- 見た目だけで良悪性は分からない
- 歯科レントゲン・病理検査が重要
- 良性でも再発や骨浸潤を起こすことがある
「様子を見ていたら大きくなった」というケースも少なくありません。
口の中のできものに気づいた際は、早めの検査が大切です。
🏥歯科・口腔外科診療について
東京動物皮膚科センター/神宮前動物病院
当院では、
- 歯科レントゲン
- 口腔内腫瘤の外科切除
- 病理検査
- 歯周外科・口腔外科
まで対応しています。
「歯ぐきのできものが気になる」
「口の中に腫れがある」
といった場合もご相談ください。