【皮膚】見た目で一発診断⑦:耳垢腺嚢胞症(Feline Ceruminous Cystomatosis)

こんにちは。
東京動物皮膚科センターの馬場です。

「見た目で一発診断できる皮膚病」シリーズ、第7回は
猫の耳に黒いブツブツが多発する病気
耳垢腺嚢胞症(じこうせんのうほうしょう)です。


耳垢腺嚢胞症とは?

耳垢腺嚢胞症(FCC)は、猫にみられる非腫瘍性(がんではない)疾患です。

外耳道から耳介の内側(耳のくぼんだ面)にかけて、
黒色〜青黒いドーム状の小さな嚢胞(ふくらみ)が多数できるのが特徴です。

見た目のインパクトが強く、
「腫瘍ではないか」と心配されることも多い病気です。


こんな症状が見られます

  • 耳の内側に黒いプツプツが多発している
  • 表面がつやっとした丸いふくらみ
  • 重症例では嚢胞が大きくなり、耳の入り口をふさぐこともある
  • 嚢胞が破れると、茶色〜黄褐色の液体が出てくる

まれに、耳だけでなく
まぶたのふち(眼瞼縁)や顔面に同じような病変ができることもあります。


原因は?

はっきりした原因は分かっていませんが、

  • 加齢による変化
  • 慢性的な耳の炎症
  • 生まれつきの耳垢腺導管の閉塞

などが関係していると考えられています。


診断について

特徴的な見た目から、視診で強く疑うことが可能です。

ただし、

  • 耳垢腺腫瘍
  • 他の嚢胞性病変

との区別が必要になる場合もあります。

必要に応じて細胞診や組織検査を行います。


治療と経過

従来は、

  • 外科的切除
  • CO₂レーザー治療

が選択されることが多い疾患でした。

一方で最近では、

  • 丁寧な耳洗浄
  • 抗菌・抗真菌薬+ステロイドを含む点耳薬

による保存的治療で改善する例も報告されています。

病変の数や大きさ、耳道の閉塞の有無によって、治療方針を選択します。


まとめ

「猫の耳に黒いブツブツが多発している」

この見た目を見たら、耳垢腺嚢胞症を思い出してください。

見た目は目立ちますが、悪性腫瘍ではありません
ただし、進行すると耳道をふさいだり、慢性炎症の原因になることがあります。


こんな症状を見たら、当院へご相談ください

  • 猫の耳に黒い小さなふくらみが増えてきた
  • 嚢胞が大きくなっている
  • 耳が汚れやすい、においが気になる
  • 何度も耳の炎症を繰り返している

耳垢腺嚢胞症は、適切な評価と管理によってコントロール可能な病気です。
気になる症状がある場合は、ぜひ当院へご相談ください。