「永久歯が生えてきたのに、乳歯が残ったまま…」
そんな相談を子犬の飼い主さんからよく受けます。
乳歯遺残(にゅうしいざん)は見た目は可愛いトラブルに見えますが、放置すると歯並び(咬み合わせ)の異常や歯周病の原因になることもあります。
今回は、乳歯遺残がなぜ問題なのか、そして治療や予防のポイントについてわかりやすく解説します。
乳歯遺残とは

犬は通常、生後4〜7か月ごろに乳歯が抜け、永久歯へと生え変わります。
しかし、何らかの理由で乳歯が自然に抜けず、永久歯と並んで残ってしまう状態を「乳歯遺残」と呼びます。
🦷主な原因
- 永久歯が正しい位置から萌出していない
- 乳歯の根が吸収されにくい
- 小型犬(トイプードル、チワワ、ポメラニアンなど)で顎が小さい
特に犬歯や切歯でよく見られ、放置すると重歯のような状態になります。
歯が重なって生えてしまうとその部位に歯垢・歯石が沈着しやすくなり、歯周病になってしまうので注意が必要です。
⚠️乳歯遺残によって起こる不整咬合
乳歯が抜けずに残ると、永久歯が正しい位置に生えるスペースがなくなり、
結果として歯列がずれてしまう=不整咬合を引き起こします。
🦷下顎犬歯のトラブルが多い
特に注意したいのが下顎犬歯の乳歯遺残です。
本来、下顎犬歯の永久歯は上顎犬歯と切歯の間(いわゆる「犬歯間」)にきれいに収まるよう生えます。
しかし乳歯が残ると、写真のように永久歯が内側(舌側)に押しやられ、上顎の歯ぐきや口蓋を突き刺すような位置、上顎の歯に当たって角度を変えてしまうような位置に生えてしまうことがあります。


これにより、
- 痛みや出血
- 食事やおもちゃを嫌がる
- 顎を触ると怒る
- 永久歯の歯根が歪む
といった症状が起こることがあります。
🦷治療法 ― 乳歯は早めの抜歯を
基本的に、永久歯が生えてきた時点で乳歯が残っている場合は抜歯が必要です。
💡ポイント
- 無麻酔での抜歯は危険(根が深く、折れる・感染のリスク)
- 全身麻酔下で根までしっかり抜くことが重要
- 不妊・去勢手術と同時に行うケースが多い
抜歯後、永久歯の位置が自然に戻ることもありますが、
場合によっては矯正治療が必要なこともあります。
📸去勢・避妊手術時に歯科レントゲンを撮る重要性
若齢期に全身麻酔を行う機会といえば、去勢・避妊手術のとき。
このタイミングで**歯科レントゲン(デンタルX線)**を撮ることで、
目に見えない「歯根の吸収不全」「埋伏歯」「永久歯の萌出異常」を早期に発見できます。
特に、小型犬では乳歯遺残や歯列異常(永久歯が足りない)といった様子が多く見受けられますので、手術前には必ず歯が生えそろっているかも確認してもらいましょう。

🔎歯科レントゲンで分かること
- 残根や埋伏歯の有無
- 永久歯の向きや位置
- 乳歯の根吸収の程度
- 骨との位置関係
これにより、将来的な咬合異常や歯周病のリスクを大幅に減らすことができます。
埋伏歯など歯の異常を認めた場合は麻酔下での治療が必要になります。
🩺まとめ
- 乳歯遺残は放置すると不整咬合・歯周病の原因になる
- 特に下顎犬歯は要注意!
- 永久歯が生えた時点で乳歯が残っていたら早めに動物病院へ
- 去勢・避妊手術の際に歯科レントゲンを撮ることで、将来のトラブルを予防できる
小さな歯でも、早期のチェックが一生の健康につながります。
気になる歯並びや乳歯の残りがある場合は、ぜひ一度ご相談ください。