「淡色被毛脱毛症(Color Dilution Alopecia:CDA)」は、シルバー、ブルー、フォーンなどの淡い毛色を持つ犬にみられる脱毛症です。
毛の色を作るメラニンの輸送異常が原因とされ、遺伝的な素因を背景に毛幹がもろくなり、折れたり抜けたりして被毛が薄くなります。
多くは若齢期に発症し、二次的に毛包炎を伴うこともあります。
「遺伝だから治らない」と言われることが多いけれど…
教科書的には「遺伝的な異常によるため、効果的な治療はない」とされています。
たしかに、淡色被毛を持つ犬の多くはある程度、メラニン輸送に関する遺伝的な異常を持っていると考えられます。
しかし、ここが重要なポイントです。
同じように淡色被毛を持っていても、脱毛を発症する犬としない犬がいます。
つまり、遺伝的な素因は「発症しやすさ」に関わっているかもしれませんが、脱毛のすべての原因が遺伝そのものではないのです。


内服治療で毛が生えてることも
今回ご紹介するワンちゃんは、生検によって淡色被毛脱毛症と確定診断された症例です。
通常は「生えにくい」とされる病気ですが、内服治療でしっかり発毛がみられました。


発毛後は毛質も改善し、飼い主さんも大変喜ばれていました。
諦めずに、できる治療を試す価値あり
淡色被毛を持つ犬は、もともとある程度の遺伝的な異常を抱えていると考えられます。
それでも発症の有無や進行の程度には個体差があります。
つまり、淡色被毛脱毛症と診断されても、
- 炎症を抑える
- 毛包環境を整える
- 抗酸化作用をもつサプリや脂肪酸を補う
といった適切な治療やケアで改善する可能性があります。
脱毛症や皮膚のトラブルでお困りの際はぜひお気軽にご相談ください。