【歯科】犬の歯石はどうしたらいい?!|麻酔の必要性と放置するリスク

犬の歯石除去は「早め」がカギ

動物にとって、歯石除去(スケーリング)は歯周病予防・治療の基本です。
「全身麻酔が心配」「自然に抜けるまで待てばいいのでは?」といった声も聞かれますが、処置を遅らせることが歯周病を進行させる最大のリスクとなります。

本記事では、歯石除去のベストタイミング・全身麻酔の必要性・放置リスクについて解説します。
※本文には症例写真(歯石・歯周病の画像)が含まれます。閲覧の際はご注意ください。

この記事を読んで一緒に歯石除去に関する知識を学んでいきましょう!


犬・猫の歯石除去は全身麻酔下で行う理由

歯石除去は次のような理由で全身麻酔下での処置が推奨されます。

  • 無麻酔スケーリングでは、歯肉ポケットの奥に残る歯石や細菌を除去できず、歯周病は進行してしまう。
  • 無麻酔で除去しようとすると、抑え込みによる強いストレスや外傷のリスクがある。

つまり、動物の安全と確実な処置のため全身麻酔は必要不可欠なのです。


歯石除去を「早く行う」ことでの違い

【初期段階での処置】

犬の歯石が沈着した奥歯
犬の治療を行ない綺麗になった奥歯

この症例は、臼歯に軽度の歯石沈着があります。
健康診断を兼ねて全身麻酔下で超音波スケーラーによる歯石除去、歯冠の研磨を行い、歯科用レントゲンで歯周病の有無を確認して処置を完了しました。

処置時間は約45分ほど、全ての歯の保存が可能で抜歯や縫合、歯肉切開などもありませんでした。
このように、早期処置なら短時間・低リスクで歯を守れるのです。

【進行した歯周病での処置】

重度に歯石が沈着し歯周病を起こした犬の歯
手術後の犬の口腔内

一方で、こちらの症例は分厚い歯石が全体を覆っており、痛みや食欲不振などの全身状態が低下した状況での麻酔処置となりました。
歯槽骨は広範囲に吸収され、下顎骨骨折のリスク(特に小型犬で多い)や瘻管形成など、様々な合併症リスクがありました。

抜歯に2時間半以上、術後入院や強力な疼痛管理が必要となり、術後の回復にも時間はかかります。
進行した歯周病の治療は大掛かりになり、負担・リスク・費用が大幅に増えてしまうのです。


歯周病が進行すると起こる主なリスク

歯周病が進行すると次のような症状、合併症が起こることがあります。

  • 口腔鼻腔瘻(鼻水・くしゃみ・鼻出血・食べ物の逆流)
  • 歯肉退縮・歯の動揺・脱落
  • 下顎骨骨折(特に小型犬で多発)

これにより、麻酔時間が延長し合併症などのリスクにも関わります。


まとめ|歯石除去は「早期対応」がポイント

歯周病は待てば待つほど進行し、治療リスク・費用が増大します。
初期であれば短時間麻酔で歯を残せる可能性が高いため、口臭・歯石・歯ぐきの赤みが見られたら、すぐに歯科検診を受診しましょう。


東京動物皮膚科センター/神宮前動物病院の歯科診療

当院では、日本獣医麻酔外科学会 動物麻酔基礎技能認定医による全身麻酔管理のもと、歯石除去から、

  • 抜歯
  • 根管治療
  • 口腔外科

まで幅広く対応しています。
東京都渋谷区・港区エリアで、犬・猫の歯石除去や歯周病治療をご検討の方はぜひご相談ください。

 03-3403-8012(歯科診療担当:森田)