こんにちは。東京動物皮膚科センター/神宮前動物病院で歯科診療を担当している獣医師の森田です。
今回は、犬の進行した歯周病に対して「歯周組織の再生治療」を行った症例をご紹介します。
これまで「抜歯しかない」とされてきたケースでも、状態によっては歯の保存が可能になる場合があります。
🦷 犬の歯周病、すべて「抜歯」が必要?
犬の歯周病が進行すると、歯を支える骨(歯槽骨)が吸収・破壊され、歯がグラついたり、膿が出たりといった症状が現れます。
これまでは**「骨が溶けている=抜歯しかない」**とされてきましたが、近年では再生医療の技術が進歩し、条件が整えば歯を温存できる可能性が出てきています。
🔍 今回の症例:右下顎第一後臼歯に対する再生治療
こちらは、右下顎の第一後臼歯に重度の骨吸収が見られた症例です。
- レントゲン・プロービングにて歯周ポケットの深さを評価
- 歯槽骨が大きく融解しており、従来であれば抜歯適応
- 飼い主様のご希望もあり、再生療法にチャレンジ
🛠️ 実施した再生プロトコル:
- 病変部の徹底的なデブライドメント(感染除去)
- 歯根面の処理と骨再生材の充填
- 血小板由来の再生因子(PRF)を併用
- フラップを閉鎖し、縫合
📸 治療後前後(経過10ヶ月)の写真:

→ 歯肉の安定、ポケットの改善、出血・動揺の消失
→ レントゲンでも骨の再生が明らか
✅ 再生治療の適応となる歯とは?
すべての歯が再生治療の対象になるわけではありませんが、以下のような条件が整えば、歯を抜かずに治療できる可能性があります。
- 骨吸収の範囲が垂直的(3壁欠損など)
- 根の分岐部病変が限局している
- 飼い主様が継続的な歯科ケアに協力的
- 全身状態が良好で、麻酔リスクが低い
🐾 「抜かずに治す」選択肢がある時代へ
歯を残すことで、噛む機能やQOL(生活の質)を保つことができるのはもちろん、犬の歯科医療の選択肢が広がったことは大きな進歩です。
「抜歯しかない」と言われたケースでも、一度歯科専門施設での再評価をおすすめします。
📞 ご相談・ご予約はこちら
東京動物皮膚科センター/神宮前動物病院では、
歯周病の進行度に応じた外科的処置から再生療法まで、幅広い歯科診療に対応しています。
歯をなるべく残したい方、セカンドオピニオンを希望される方もお気軽にご相談ください。
📞 03-3403-8012(歯科診療担当:森田)