こんにちは。
東京動物皮膚科センター/神宮前動物病院 歯科診療担当の森田です。
猫も人間と同じく、口腔ケアが健康の基礎になります。
特に「歯周病」は猫の口腔トラブルの中でも最も多く、進行すると歯の喪失だけでなく、慢性腎臓病との関連性も指摘されています。
今回は、軽度歯周病の猫の症例をもとに、歯周病の診断方法、症状、そして全身への影響について解説します。
🦷 症例紹介:軽度の歯周病でも放置はNG
下の写真は、左上顎の第3前臼歯(P3)に歯石の沈着と歯肉の発赤が認められた猫ちゃんです。

この歯は「機能歯」とも呼ばれ、食べ物を噛みちぎる際に特に重要な歯。
そのため汚れが溜まりやすく、歯磨きを怠ると歯周病の温床になりがちです。
歯科レントゲン検査を実施したところ、ごく軽度の歯槽骨吸収が確認され、軽度歯周炎と診断し治療を行いました。

🩺 猫の歯周病は目に見えづらい病気です
猫の歯周病は、肉眼だけでは正確に判断できないケースが多いです。
- 歯肉が後退していなくても進行していることがある
- 麻酔下での歯科レントゲン検査が診断のゴールドスタンダード
特に歯肉が明らかに下がっている場合は、多くの症例で中程度以上の歯周病に進行している可能性が高いと考えられます。
⚠ 歯周病は“腎臓病の引き金”にもなる?
猫の歯周病は口の問題だけにとどまりません。
近年の研究では、中等度以上の歯周病を持つ猫は、健康な猫に比べて
➡ 慢性腎臓病(CKD)を発症するリスクが約1.5倍に上昇することが示唆されています。
つまり、歯周病の予防・治療は「口の健康」だけでなく、「全身の健康寿命」にもつながる重要なケアなのです。
💡 この子の治療内容と予防の意義
今回の猫ちゃんは軽度の歯周病でしたが、将来的なリスクを考慮し、
全身麻酔下での精密検査・スケーリング・ポリッシング処置を実施しました。
歯周病は、初期段階での介入により大きな処置を避けることができ、寿命とQOL(生活の質)の向上にも寄与します。
✅ こんな症状があれば要注意!
猫の歯周病のサインには以下のようなものがあります:
- 🦷 口臭が強い
- 🦷 歯石が目立つ
- 🦷 よだれが増えた
- 🦷 歯肉が赤い/出血している
- 🦷 ご飯を食べづらそうにする/ポロポロこぼす
- 🦷 顔やあごの腫れ
- 🦷 触ると嫌がる、怒る
一つでも当てはまる場合は、早めの診察をおすすめします。
🏥 東京動物皮膚科センター/神宮前動物病院では
当院では、猫に特化した歯科診療と全身麻酔管理、歯周病検査・処置体制を整えています。
- 麻酔前検査の徹底(腎・肝・心の評価)
- 歯科レントゲン/口腔内視診/スケーリング
- 予防ケア・ホームデンタルケアのアドバイスも実施
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東京動物皮膚科センター/神宮前動物病院
歯科診療担当:森田
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