こんにちは。東京動物皮膚科センター 歯科担当獣医師の森田です。
今回は、**小型犬でよく見られる「切歯の歯周病」**について、症例をもとに治療内容と歯の保存に関する考え方をご紹介します。
歯を「抜く」「残す」はどうやって決める?
動物の歯科治療では、抜歯すべきか温存すべきかの判断が非常に重要です。
特に小型犬では、切歯(前歯)の歯周病が多く、症状や解剖学的な特性をよく把握したうえで処置を行う必要があります。
症例紹介:歯石の沈着

この子は、歯石の沈着を主訴に来院されました。
下顎犬歯の萌出により上顎第3切歯がねじれてしまっています。また、下顎は切歯が密生していて犬歯との間にプラークが付着しています。
精査内容と処置:
- 全身麻酔下で歯科レントゲンを実施
- 歯槽骨の**重度融解(骨が溶けている)**を確認
- 右上顎の第三切歯、下顎第三切歯を抜歯し、骨欠損部に骨補填材(BoneTite)と自己由来成分(PRF)を併用することで、骨再生の促進と創傷治癒の最適化を図る。

小型犬に多い「切歯の歯周病」の特徴とは?
小型犬は、歯の大きさに対して顎が小さく、歯列が密集しやすいため、以下のような問題が起こりやすくなります。
病態名 | 説明 |
---|---|
叢生(そうせい) | 歯が重なって生える。歯磨きが難しく歯石が付きやすい。 |
歯列狭窄 | 歯と歯の隙間が狭く、プラークが溜まりやすい。 |
歯周病による歯の移動 | 歯槽骨が破壊され、歯が動いて歯列が乱れる。 |
これらの状態は、見た目や機能の問題だけでなく、歯周病を進行させる要因にもなります。
そのため、小型犬ほど定期的な歯科検診と早期治療が重要です。
歯を残すためにできること
当院では、「抜歯一択」ではなく、飼い主様の希望と症例の状態に応じて、可能な限り歯の温存も検討しています。
ただし、歯槽骨の融解や膿の貯留が進んでいる場合は抜歯が適切な選択肢となることもあります。
まとめ|小型犬の切歯は早めのチェックがカギ
- 小型犬は構造的に切歯の歯周病が起こりやすい
- 歯の保存には早期の介入と継続的なケアが必要
- 歯石が気になる・歯ぐきが下がってきた場合は、すぐにご相談ください
犬・猫の歯周病治療なら東京動物皮膚科センターへ
東京都渋谷区・港区で、犬・猫の歯周病や歯石除去、抜歯などの歯科診療をお探しの方は、東京動物皮膚科センターまでお気軽にご相談ください。
東京動物皮膚科センターの予約はコチラ⬇︎
03-3403-8012(歯科診療担当 森田まで)