こんにちは。東京動物皮膚科センターの馬場です。
今回は、犬にとても強いかゆみを引き起こす「疥癬(かいせん)」という病気についてご紹介します。
疥癬ってなに?
疥癬は、Sarcoptes scabiei var. canis(イヌセンコウヒゼンダニ)というダニが皮膚に寄生することで起こる病気です。
目には見えない小さなダニですが、犬にとっては非常にかゆくてつらい存在です。
こんな症状があったら要注意!
- 強いかゆみ(特に夜間や静かなときに悪化することも)
- 耳のふち、肘、かかと、お腹などの脱毛や赤み、フケ
- かき壊してできるかさぶたやじゅくじゅくした皮膚
- かゆくて落ち着きがない、眠れない様子
これらの症状があるとき、疥癬が原因かもしれません。

感染するの?
はい、疥癬は非常に感染力が高い病気です。
感染している犬との直接接触でうつることが多く、同居犬がいる場合には注意が必要です。
また、まれに人や猫にも一過性に感染することがありますが、通常は自然に治まります。
どうやって診断するの?
皮膚の一部をこすって顕微鏡でダニを確認する「皮膚掻爬検査(ひふそうはけんさ)」で調べます。
ただし、ダニが少ないと検出できないこともあるため、**症状や経過から「疑わしい」と判断された場合には治療を試してみる(診断的治療)**こともあります。

治療法は?
治療にはいくつか方法がありますが、最近は「イソキサゾリン系」という飲み薬やスポットタイプの駆虫薬が主流になっています。
また、かゆみが強い場合には、かゆみ止め(抗炎症薬)を併用してあげることで、犬のストレスも軽減できます。
- 例:プレドニゾロン(ステロイド)、オクラシチニブ(アポキル®)など
さらに、寝床や毛布の洗濯・消毒など、環境面の清潔管理もとても重要です。
最後に
疥癬は決して珍しい病気ではありませんが、最近では症例数が少なくなったこともあり、見逃されてしまうこともあります。
「かゆみが強いのに、なかなかよくならない…」という場合は、ぜひ一度ご相談ください。
ダニが原因だった!というケースも少なくありません。
ご自宅で飼っているワンちゃんに「いつもと違うかゆみ」や「耳のふちのフケ・赤み」などの症状が見られたら、お気軽に当センターまでご連絡ください。
早期発見・早期治療が大切です!