歯科担当の森田です。
このコラムでは犬の歯肉増多症について解説しています。

犬の歯肉増多症(gingival hyperplasia)とは、歯肉(歯ぐき)が過剰に増殖・肥厚する疾患です。
見た目では歯肉が盛り上がり、歯が埋もれて見えにくくなることがあります。
🦷特徴
項目 | 内容 |
---|---|
定義 | 歯肉組織の過形成(細胞数の増加)によって歯肉が異常に厚くなる状態 |
好発犬種 | ボクサー、ブルドッグ系、グレート・デーンなど |
原因 | 遺伝、慢性の歯周病、薬剤(シクロスポリン、カルシウム拮抗薬など) |
症状 | 歯が見えない、歯肉出血、口臭、食べにくそうにする |
合併症 | 歯周病の悪化、歯肉ポケットの形成、歯石蓄積 |
原因
- 遺伝性:特にボクサーでは遺伝的素因が強いとされます。
- 慢性炎症:歯垢・歯石による炎症が長引くと、組織の反応として歯肉が増生します。
- 薬剤性:
- シクロスポリン(免疫抑制薬)
- アムロジピンなどのCa拮抗薬(高血圧や心疾患に処方される)
🔬 診断

- 視診:歯肉が肥厚し、正常な歯冠の輪郭が見えにくくなります。
- 歯周ポケット測定:歯周病の進行度をチェックします。
- 組織生検(必要に応じて):腫瘍との鑑別が目的です。
🛠 治療法

方法 | 内容 |
---|---|
スケーリング | 歯石除去により慢性炎症の原因を取り除く |
薬剤中止・変更 | 薬剤性の場合は主治医と相談して変更する |
歯肉切除術(ジンジバレクトミー) | 肥厚した歯肉を外科的に除去(全身麻酔下) |
定期的な口腔ケア | 再発予防として重要。ブラッシングや定期検診推奨 |
まとめ
歯肉の見た目だけで判断せず、悪性腫瘍(メラノーマや扁平上皮癌など)との鑑別が必要な場合があります。
治療後も再発するケースが多いため、長期管理が前提となります。
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