歯科担当獣医師の森田です！

皆さんは猫ちゃんも歯並びが原因で歯の病気が起こってしまうことをご存知ですか？
今回はその治療法、歯冠切除について実際の症例のお写真を見ながら解説していきます。

歯冠切除の適応

まず、歯冠切除とは不整咬合とよばれる歯並びや噛み合わせを、外科治療を用いて改善していく治療です。
動物の不整咬合にも様々なクラスがありますが、矯正の適応になるような不整咬合として以下の基準が参考にされています。

・対側の歯に当たり、正常な歯の萌出を妨げている。
・対側の粘膜、歯肉、口蓋に当たり炎症や潰瘍を引き起こしている。

それでは、下の写真を見てみましょう。この症例はものを食べる際に口を痛がるという主訴で来院されました。

一見正常な咬合に見えますが、よく見てみると下顎の大臼歯が上顎の口蓋粘膜に当たって潰瘍化してしまっています。
このように、対側の口腔粘膜や歯に当たってしまう歯は矯正の適応になります。

そのため全身麻酔下で下顎臼歯の歯冠切除を行いました。
矯正のやり方は様々ありますが、この子の場合は神経に達しないよう歯科レントゲンで確認しながら当たっている歯を削り、対側の粘膜に当たらない高さまで調整する矯正を行いました。

その後、歯科用コンポジットレジンで削った歯を覆っています。

このように、歯の並びや生え方を矯正することで対側の歯に接触することを防げます。

まとめ

猫ちゃんの歯列矯正は人ほど審美的な目的はありませんが、健康な歯を維持するために重要な治療です。
特に猫の歯は鋭く、歯が反対の歯や粘膜、歯肉、口蓋に当たっている子は治療が必要な場合もありますので動物病院を受診しましょう。

猫ちゃんの歯でお悩みの方は東京都渋谷区にある耳科、皮膚科、歯科専門動物病院の東京動物皮膚科センターへご相談ください。

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