こんにちは、東京動物皮膚科センターの馬場です。
このたび、獣医師向け専門雑誌「VETERINARY BOARD」4月号にて「膿皮症の総論」に関する記事を執筆させていただきました。
日々の臨床においてもっとも遭遇する皮膚疾患のひとつである膿皮症ですが、近年のガイドラインの改訂や抗菌薬耐性菌の問題などにより、診断・治療のあり方も少しずつ変わりつつあります最新の知見をふまえて膿皮症診療の基本を見直しました。

以下に簡単に記事の内容と膿皮症についてご紹介します。
🔍 記事のポイント
1.膿皮症とは何か
膿皮症は、皮膚における細菌感染症の総称であり、表面性膿皮症、表在性膿皮症、深在性膿皮症に大別されます。特に犬ではStaphylococcus pseudintermediusによる表在性膿皮症が多く、適切な診断と治療が求められます。
2.新ガイドラインの変更点
近年の国際ガイドラインでは、抗菌薬の適正使用(AMR対策)の観点から、局所療法の優先や培養・感受性試験の活用が強く推奨されています。抗菌薬の「予防的投与」や「漫然とした継続投与」は慎重に見直すべきとされています。
3.局所療法の重要性
シャンプーや抗菌性ローションなどを活用した局所療法は、軽度から中等度の膿皮症において高い効果を発揮します。とくに限局性病変に対しては、全身投与に匹敵する治療効果が得られることがわかってきました。
4.治療のコツと再発防止
膿皮症は「治ったように見えても再発する」ことが少なくありません。基礎疾患の精査(アトピー性皮膚炎、内分泌疾患など)と、継続的なスキンケアなどが再発防止には重要です。
今回の寄稿を通じて、改めて「膿皮症診療の基本」を見直す機会をとなりました。今後も現場で役立つ知識を、定期的にこのコラムを通じて共有していきたいと思っております。
また、膿皮症に限らず、皮膚のトラブルでお困りの症例があれば、どうぞお気軽にご相談ください。
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