犬の口の中にしこりを見つけたら、まず何をすればいい?
「歯ぐきにピンク色のできものがある」
「少しずつ大きくなってきた気がする」
「口臭や出血がある」
犬の口の中にできるしこり(口腔内腫瘤)は決して珍しいものではありません。
しかし見た目だけでは、
- 良性腫瘍
- 悪性腫瘍
- 炎症による腫瘤(歯肉増殖)
- 歯周病に伴う病変
などを区別することはできません。
今回は、左上顎犬歯にできた歯肉腫瘤を切除し、病理検査を行った10歳のミニチュアシュナウザーをご紹介します。
症例紹介|10歳ミニチュアシュナウザー

今回の患者さんは10歳のミニチュアシュナウザーです。
飼い主様が
「左上の犬歯の歯ぐきにしこりができている」
ことに気付き来院されました。
診察では、左上顎犬歯周囲に歯肉から隆起する腫瘤を認めました。
見た目だけでは炎症なのか腫瘍なのか判断できないため、全身麻酔下で詳しい検査を行うことにしました。
口の中のしこりはどのように調べる?
当院では、口腔内腫瘤を認めた場合、以下のような流れで診断を進めます。
①口腔内診察
まずは、
- 発生部位
- 大きさ
- 表面の状態
- 出血の有無
- 周囲の歯周病
などを確認します。
②歯科レントゲン検査
全身麻酔下で歯科レントゲンを撮影し、
- 歯根の異常
- 歯槽骨の融解
- 骨の増生
- 腫瘍の浸潤
を評価します。
今回の症例では、骨の融解や骨増生は認められず、歯周組織への明らかな浸潤もありませんでした。
③切除生検・病理検査
見た目だけでは確定診断はできません。
そのため今回は腫瘤を切除し、病理組織検査を実施しました。
病理検査の結果
病理検査では、歯肉線維性過形成(Gingival Fibrous Hyperplasia)および慢性化膿性歯肉炎と診断されました。
悪性腫瘍を示す所見は認められず、炎症に伴って歯肉が過剰に増殖した病変であることが確認されました。
このような病変は慢性的な歯周炎や歯石による刺激が原因となることが多く、腫瘍と非常によく似た外見を示すことがあります。
口の中のしこりは「見た目」で判断できません
犬の口腔内腫瘤には、
- 炎症性病変
- 歯原性腫瘍
- メラノーマ
- 扁平上皮癌
- 線維肉腫
など様々な病気が含まれます。
特に悪性腫瘍では、見た目が小さくても顎の骨へ浸潤していることがあるため、
歯科レントゲンや病理検査による診断が非常に重要です。
必要に応じてCT検査を追加し、腫瘍の広がりを詳しく評価することもあります。
治療後の経過
今回の症例では腫瘤を切除した後の経過は良好で、口腔内もきれいに治癒しています。
病理検査で悪性所見が認められなかったため、現在は定期的な口腔チェックを行いながら経過観察を続けています。
まとめ|犬の口の中にしこりを見つけたら
口の中にできたしこりは、炎症だけでなく腫瘍が原因の場合もあります。
そのため、
- 見た目だけで様子を見ない
- 歯科レントゲンで骨の状態を確認する
- 必要に応じて病理検査で確定診断を行う
ことが大切です。
「良性だから安心」「悪性だから危険」と決めつけるのではなく、まずは原因を正確に調べることが適切な治療への第一歩になります。
🏥 東京動物皮膚科センター/神宮前動物病院
当院では犬・猫の口腔内腫瘤に対し、
- 歯科レントゲン検査
- 切除生検
- 病理組織検査
- CT検査(必要時)
- 良性・悪性腫瘍の外科治療
まで一貫して対応しています。
「歯ぐきのできものが気になる」「口の中にしこりを見つけた」という場合は、お早めにご相談ください。