【皮膚】外耳炎で手術が必要になる犬とは?外耳炎⑤

こんにちは。東京動物皮膚科センターの馬場です。

「外耳炎で手術が必要になることはありますか?」

診察でよくいただくご質問です。

結論からお伝えすると、ほとんどの外耳炎は内科治療で改善します。

適切な耳洗浄や点耳薬、必要に応じた内服薬、そしてアレルギーなど背景疾患の治療を組み合わせることで、多くの犬では良好にコントロールすることができます。

しかし、炎症が長期間続いたり、何度も再発を繰り返したりすると、耳そのものの構造が変化してしまうことがあります。

例えば、

  • 耳道が著しく狭くなり、薬が奥まで届かない
  • 耳道の軟骨が石灰化し、耳が硬くなっている
  • 慢性中耳炎を併発し、炎症が中耳まで及んでいる
  • 耳道内に腫瘍やポリープが存在する

このような場合には、内科治療だけで改善させることが難しく、外科治療を検討することがあります。

一方で、「耳道が少し狭いから」「何度か外耳炎を繰り返しているから」という理由だけで、すぐに手術が必要になるわけではありません。

重要なのは、その耳が本当に内科治療の限界に達しているのかを見極めることです。

近年では、ビデオオトスコープを用いた耳道洗浄や異物除去、耳の奥まで観察しながら行う保存療法が普及し、以前であれば手術しか選択肢がないと考えられていた症例でも、内科的に管理できるケースが増えてきました。

そのため、当院ではまず耳の状態を詳しく評価します。

耳鏡やビデオオトスコープで耳道や鼓膜の状態を確認し、耳垢細胞診で細菌やマラセチアの増殖状況を調べます。また、必要に応じてCT検査などを組み合わせ、中耳まで病変が及んでいないかを評価します。

これらの検査結果を踏まえたうえで、

  • 内科治療で改善が期待できるのか
  • ビデオオトスコープによる保存療法が適しているのか
  • 外科治療を検討したほうが犬の負担を減らせるのか

を一頭一頭慎重に判断しています。

外耳炎の治療で最も大切なのは、「手術をするかしないか」ではなく、その犬にとって最も負担が少なく、長期的に良い状態を維持できる方法を選ぶことです。

「手術と言われたけれど本当に必要なのだろうか」「できれば耳を残したい」とお悩みの方も、一度ご相談いただければ現在の耳の状態を詳しく評価し、治療の選択肢をご説明いたします。