こんにちは。東京動物皮膚科センターの馬場です。
膿皮症シリーズの最終回は、「耐性菌」についてです。少し難しい話になりますが、飼い主さんにもぜひ知っていただきたい内容です。
耐性菌(MRSP)が急増しています
膿皮症の原因菌であるブドウ球菌の中に、多くの抗菌薬が効かないメチシリン耐性ブドウ球菌(MRSP)があります。
日本では2000年代初頭にはほぼ検出されなかったこの菌が、2014年の時点で膿皮症の原因菌の65%以上を占めるという報告が出ています。
この急増の背景には、不必要な抗菌薬の使用が大きく関わっていると考えられています。

怖いのは「選択肢がなくなること」
耐性菌が増えると、将来的に使える抗菌薬の選択肢がどんどん狭まります。
これは犬だけの問題でなく、人の医療にも影響するため、社会全体で真剣に取り組む必要があります。
MRSPによる膿皮症であっても、表面性・表在性であればクロルヘキシジンなどの消毒薬が有効で、臨床的な治療失敗はこれまでほぼ報告されていません。外用療法を適切に行うことで、耐性菌への対策になるのです。
飼い主さんへのお願い
当院では、抗菌薬を必要な時に・必要な期間だけ・適切な薬剤を使うという「抗菌薬スチュワードシップ」を実践しています。
「抗菌薬を出してもらえなかった」と感じる場面もあるかもしれませんが、それは外用療法で対応できると判断した証拠でもあります。
膿皮症の治療は「薬を飲ませること」よりも「外用ケアを丁寧に続けること」「原因となる基礎疾患をコントロールすること」が今や中心です。一緒に取り組んでいきましょう。
膿皮症に関するご相談は、お電話(03-3403-8012)にてどうぞ。