こんにちは。
東京動物皮膚科センター/神宮前動物病院で歯科診療を担当している獣医師の森田です。
今回は、「歯周病って放っておくとどうなるの?」という飼い主さまからのご質問にお答えします。
犬や猫の歯周病はとても多く、3歳以上の犬猫の約8割が罹患しているともいわれています。
進行してから気づかれるケースも多く、早期発見・早期治療が重要な病気のひとつです。
🦷 歯周病の進行ステージ(AVDC分類)
歯周病は進行度によってステージ1〜4に分類されます(AVDC:米国獣医歯科協会分類)。
| ステージ | 症状 | 主な治療 |
|---|---|---|
| Stage 1 | 歯肉炎(赤み・出血) | スケーリング+ホームケア |
| Stage 2 | 歯周ポケット拡大、歯槽骨の軽度吸収 | 麻酔下スケーリング+ポリッシング |
| Stage 3 | 中等度の骨吸収・歯の動揺あり | 外科処置・抜歯が必要な場合あり |
| Stage 4 | 高度な歯周炎・広範な骨融解 | 多数の抜歯・フラップ手術が必要 |
早期ステージでは歯の保存が可能ですが、進行すると抜歯や骨外科が必要となり、負担が大きくなります。

⚠️ 放置で進む“見えないリスク”
見た目に大きな変化がなくても、歯周病が進行すると以下のような深刻な問題が起こります。
📌 歯槽骨の吸収(歯を支える骨が溶ける)

- 歯の動揺や脱落
- 抜歯後に顎骨骨折のリスク増大
- 犬歯周囲では**ランスエフェクト(骨の陥凹)**も
📌 口腔鼻腔瘻(こうくうびくうろう)

- 上顎の歯周病が進行すると、歯の根が鼻腔に貫通
- くしゃみ、鼻水、出血が慢性的に続く
- 外科的閉鎖手術が必要に
歯周病と全身疾患の関係
近年、歯周病は単なる口の病気ではなく、全身への影響があることがわかっています。
- 腎臓病:口腔内細菌が血中に入り、腎機能に影響
- 心疾患:感染性心内膜炎のリスク増加
- 糖尿病:慢性炎症によりインスリン抵抗性が増悪
とくに高齢動物や既往歴のある子にとっては、歯周病の放置が命に関わるリスクにもなり得ます。
歯を守るには定期的なスケーリングが鍵
歯周病の予防・進行抑制には、定期的な麻酔下スケーリングが最も有効です。
- 歯周ポケットの内部清掃
- レントゲンによる見えない骨吸収の評価
- 早期ステージでの介入により抜歯を回避
当院では、**1年に1回のCOHAT(麻酔下の包括的口腔ケア)**を推奨しています。
まとめ|歯周病は“進行性疾患”
- 歯周病は進行性の病気で、自然治癒しません
- 放置により歯の脱落、骨融解、鼻腔との交通、全身疾患のリスクあり
- 定期スケーリングで予防と早期治療が可能
気になる症状がある方は、ぜひ一度ご相談ください。
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東京動物皮膚科センター/神宮前動物病院(歯科診療担当:森田)
TEL:03-3403-8012