破折の危険性と治療
「おもちゃを噛んでいたら歯が欠けていた」
「猫の犬歯が折れている気がするけれど、痛がっていない」
こうしたご相談は当院でも多く見受けられます。
しか“痛がらない=大丈夫” は大きな誤解です。
実際に、当院でも 3歳のボーダーコリーが上顎犬歯を破折し、翌日に受診してくれたことで無事に歯を温存できた症例がありました。
早期に対応できたことで、神経を残す治療(生活歯髄切断)も行えました。
このコラムでは「歯が折れたときの正しい対処法と治療の流れ」について解説します。
歯が折れるのは“日常の瞬間”
犬や猫の歯は強そうに見えても、とても繊細です。

よくある原因
- 硬すぎるおもちゃやヒヅメ
- ケージ・金属・石などを噛む癖
- ボール遊び中の接触
- 高いところからの転落
- 他の犬との衝突
特に折れやすい歯
- 上顎犬歯(犬のキバ)
- 第四前臼歯(上顎奥歯)
これらは「気づいたら欠けていた」というケースがよくあります。
放置するとどうなるのか?
結論:見た目に異常がなくても、内部で細菌感染が進む。
歯の内部には神経・血管が走っています。
破折するとそこから細菌が侵入し、以下の病気に進行してしまうことがあります。
- 歯髄炎・根尖性歯周炎
- 内歯瘻(歯ぐきの腫れ・膿)
- 口腔鼻腔瘻(口と鼻が貫通する)
- 激しい痛み・食欲不振
これらの変化は数ヶ月〜数年単位で気づかないうちに進行してしまいます。
発見が遅くなると抜歯となってしまいます。
🩺 歯が折れたときの正しい対処法
① 無理に口をこじ開けない
痛みで急に動くと危険。
外から軽く確認する程度に。
② 歯の破片は捨てない
治療の参考になることがあります。
③ 歯科用レントゲン撮影が必須
外観がきれいでも、根の中が折れているケースは非常に多いためレントゲンによる精査が必要です。
治療は「神経が生きているか」で大きく変わる
破折の状態によって下記の治療内容が適応になります。
特に、神経が露出しているかいないか、時間が経過し歯の根本(根尖)に病変があるかないかが重要です。
| 状態 | 治療 | ポイント |
|---|---|---|
| 非露髄破折(神経露出なし) | 歯冠修復(レジン) | 感染予防・進行防止 |
| 露髄破折(神経が出ている) | 生活歯髄切断 or 根管治療 | 1〜2日以内なら神経温存可 |
| 感染・根尖病変あり | 根管治療 or 抜歯 | 徹底した感染除去が必要 |
これらの治療はすべて全身麻酔で行います。
症例紹介:3歳ボーダーコリー
上顎犬歯の破折 → 翌日に受診 → 生活歯髄切断で保存成功

この子は破折直後だったこともあり、神経がまだ生きていました。
早期処置により、将来も大切な犬歯を残せました。

🟩 破折したら「早ければ早いほど」歯が残せる可能性が上がります。
自宅で気づくポイント
愛犬が硬いものを噛む習慣がある方は、ぜひ下記のポイントをチェックしてあげてください。
- 反対の歯より背が低い
- ピンク色の組織(歯髄)が見える
- 歯が欠けて尖っている
- 黒く変色している
このような症状がある場合はすぐに動物病院をご受診ください。
まとめ|痛がらない=大丈夫、ではない
このコラムのポイントを整理します。
- 歯が折れたら即受診が基本
- 1〜2日以内なら神経が残せる可能性大
- 放置すると感染→鼻炎→抜歯リスク
- 歯の破折は“時間との勝負”
このように、破折歯の治療はスピード勝負でもあります。
気づいた際はなるべく早く動物病院を受診しましょう。
🏥 東京動物皮膚科センター/神宮前動物病院の歯科診療
当院では歯の破折・露髄・根尖病変などに対して
歯科外科・保存治療・再生療法まで一貫した診療を行っています。
📞 03-3403-8012(歯科担当:森田)
📍 東京都渋谷区神宮前