【歯科】犬の第四前臼歯にできた口腔鼻腔瘻を粘膜フラップで閉鎖した症例

口腔鼻腔瘻とは?

犬の歯周病が進行すると、歯を支える骨が溶け、口腔(口の中)と鼻腔(鼻の中)がつながってしまうことがあります。
これを 口腔鼻腔瘻(こうくうびくうろう) と呼び、特に 上顎第四前臼歯(奥歯の中で最も大きな歯) でよく発生します。

主な症状

  • くしゃみや鼻水が続く
  • 鼻血が出る
  • ごはんを食べると鼻から出てしまう
  • 慢性的な鼻炎

放置すると感染や炎症が悪化し、生活の質が大きく下がってしまうため、早期の治療が必要です。


症例紹介

右上の第四前臼歯に重度の歯周病があり、口腔と鼻腔が交通していました。
症状としては 慢性的なくしゃみと鼻水 がみられたとのことです。


手術内容(粘膜フラップによる閉鎖)

  1. 病変歯の抜歯
     第四前臼歯を3つの根に分割し、感染源を完全に除去しました。
  2. 瘻管部の掻爬と洗浄
     炎症組織や感染歯根を丁寧に取り除き、清潔な環境を整えました。
  3. 粘膜フラップの作成と縫合
     頬側の粘膜を広めに切開してフラップを前進させ、テンションフリーでしっかり閉鎖
     鼻腔と口腔の間に隙間が残らないよう、吸収糸で縫合しました。

術後経過

手術から2週間後、縫合部は良好に治癒し、鼻症状も完全に消失しました。
オーナー様からも「くしゃみがなくなり、ごはんを気持ちよく食べられるようになった」と喜びの声をいただきました。


まとめ

犬の 第四前臼歯は咀嚼に重要な歯ですが、歯周病が進行すると口腔鼻腔瘻の原因になりやすい部位です。
くしゃみや鼻水、口臭などのサインが見られたら、早めに動物病院で歯科検診を受けることが大切です。

当院では、歯を残す治療から抜歯・粘膜フラップによる閉鎖手術まで、口腔外科に対応できる体制を整えています。
「シニアだから…」と諦めずに、ぜひご相談ください。
東京動物皮膚科センター/神宮前動物病院 03-3403-8012