こんにちは。東京動物皮膚科センターの馬場です🚃
今回は犬の円板状エリテマトーデスについてのお話です。
あまり聞き馴染みがないかもしれませんが、実は皮膚科をやっていると比較的みることがある疾患です。
概要
犬の円板状エリテマトーデス(Discoid Lupus Erythematosus:DLE)は、皮膚に限局する自己免疫性皮膚疾患で、全身性自己免疫疾患であるSLEとは異なります。
主に鼻鏡(鼻の平らな部分)に発症し、紅斑、鱗屑、びらん・潰瘍、痂皮、色素脱失がみられ、初期には鼻鏡の敷石状構造の消失が特徴です。紫外線で悪化しやすく、コリー、シェットランド・シープドッグ、ジャーマン・シェパード、シベリアン・ハスキーなどの犬種で多く見られます。
DLEの診断には皮膚生検が必須であり、病理所見を中心に総合的に判断します。抗核抗体(ANA)検査は多くの症例で陰性です。細菌感染症(例:粘膜膿皮症)や他の皮膚疾患の除外が重要です。


💊 DLEの治療戦略
治療の基本は、免疫反応の抑制と紫外線対策の両立です。
1. 免疫抑制療法
- 外用療法
・0.1%タクロリムス軟膏やステロイド外用薬を使用します。
→ 軽症例や維持期に有効です。 - 全身療法
・ステロイド(導入期)
・シクロスポリン(維持期)
・症例によってはオクラシチニブ等の補助的な免疫調整薬も検討します。
2. 紫外線対策
- 日中の長時間の外出を控える
- 犬用の日焼け止め(犬に安全なもの)を併用する
紫外線はDLE病変を悪化させやすいため、日常的な遮光管理が非常に重要です。
❓ よくあるご質問(FAQ)
Q1. DLEは腫瘍に進行しますか?
A.**DLE自体が腫瘍化することはありません。慢性炎症や潰瘍が長く続く部位では、まれに扁平上皮癌(SCC)**が発生する可能性があるため、経過観察は重要です。
Q2. DLEはSLEに進行しますか?
A.**犬の場合、DLEが全身性エリテマトーデス(SLE)に進行した確実な報告はありません。**DLEは皮膚の炎症に限局する疾患と考えられています。(ウィキペディア)
Q3. DLEは一生治療が必要ですか?
A.完治は難しく、生涯の管理が必要な病気です。症状が落ち着いた後は、可能な範囲で薬剤を減量し最小限の治療で維持しますが、自己判断での中断は再発のリスクを高めます。
🐶 日常管理と予後
DLEは慢性疾患であるものの、適切な治療と紫外線対策により良好なコントロールが可能です。生活の質(QOL)を保ちながら管理できますので、変化が見られた場合は早めにご相談ください。