【皮膚】皮膚科のエマージェンシー①:多形紅斑(EM)/SJS/TEN 〜その1:原因と病態〜

こんにちは。 東京動物皮膚科センターの馬場です。

今回から「皮膚科のエマージェンシー」シリーズをお届けします。

「皮膚科は死なない科」とよく言われますが、見逃すと重症化したり、亡くなってしまうケースもあります。今回ご紹介する多形紅斑もそのひとつです。少しでも参考になれば幸いです。


多形紅斑(EM)とは?

多形紅斑(Erythema Multiforme: EM)は、さまざまな原因によって皮膚の細胞(ケラチノサイト)が変化し、自分自身の免疫が皮膚を攻撃してしまう病気です。

重症度によってはStevens-Johnson症候群(SJS)や中毒性表皮壊死症(TEN)と診断されることがあり、これらは命に関わることもある、非常に怖い病態です。


原因は?

犬では原因不明(特発性)が40%以上と最も多く、次いで薬(抗生剤など)が原因となるケースが報告されています。その他にも感染症・フード・サプリメント・腫瘍なども原因となることがあります。

特に抗生剤(スルホンアミド系・ペニシリン系・セフェム系など)の投与後に発症することがあるため、薬を使用中のワンちゃんで皮膚症状が出た場合は注意が必要です。

なお人の場合は、原因のほとんどがヘルペスウイルス感染由来である点が犬とは大きく異なります。


見た目の特徴

人ではよく「的(まと)のような病変」が見られますが、犬ではこのような典型的な病変はあまり見られません。体幹や四肢のただれ(びらん)や粘膜の病変が主体となることが多く、一見すると普通の皮膚炎と区別がつきにくいこともあります。

次回は重症度の分類と診断についてお伝えします。