こんにちは。
東京動物皮膚科センターの馬場です。
「見た目で一発診断できる皮膚病」シリーズ、第6回は苔癬様角化症(たいせんようかくかしょう)です。
苔癬様角化症とは?
苔癬様角化症は、耳の内側に限局して、皮膚が分厚くゴワゴワに盛り上がる病気です。
ヒトでは「炎症性角化症」と呼ばれるタイプの病気のひとつで、犬では比較的まれです。
こんな症状が見られます
- 耳の内側にはっきりと境界のある、厚い皮膚の盛り上がり
- 表面がザラザラ、カサカサしている
- 丘疹(小さな盛り上がり)や局面(やや広がった盛り上がり)になる
多くは成犬で発症し、強いかゆみは目立たないこともあります。

国内ではトイプードルでの報告がありますが、
特定の犬種に強い偏りは知られていません。
原因は?
はっきりとした原因は分かっていませんが、
- 免疫の異常反応
- 細菌などに対する反応性の変化
などが関係している可能性が考えられています。
診断について
見た目が特徴的なため、
「耳の内側に限局した、はっきりした角化性の盛り上がり」
という所見から強く疑うことができます。
確定診断には皮膚生検(組織検査)が必要です。
顕微鏡で確認すると、皮膚の表面が厚くなり、皮膚の境目に炎症細胞が集まっている所見が見られます。
治療と経過
苔癬様角化症は、確立された内科治療が少ないとされています。
- 外科的に切除することもあります
- 経験的に抗菌薬の内服で改善する例もあります
症状の程度や広がりによって、治療方針を慎重に検討します。
似た病気との違い
よく似た病気として
- 乾癬様苔癬型皮膚症
- 特発性苔癬様皮膚症
などがあります。

これらは顕微鏡で見ると似ている部分がありますが、
発症年齢や分布、好発犬種が異なります。
正確な診断には専門的な評価が重要になります。
まとめ
「耳の内側にだけ、はっきりとした厚い盛り上がりがある」
この見た目を見たら、苔癬様角化症を思い出してください。
こんな症状を見たら、当院へご相談ください
- 耳の内側にゴワゴワした盛り上がりができている
- 皮膚が厚くなり、なかなか改善しない
- 他院で治療しているが診断がはっきりしない
苔癬様角化症はまれな疾患であり、
他の角化異常症や腫瘍との区別が重要になります。
気になる症状がある場合は、ぜひ当院へご相談ください。