【皮膚】 猫の落葉状天疱瘡①(Pemphigus foliaceus)

こんにちは。東京動物皮膚科センターの馬場です🧤
今回は、猫の落葉状天疱瘡(Pemphigus foliaceus:PF)について解説します。


🔬 落葉状天疱瘡とは

猫の落葉状天疱瘡は、表皮の細胞間接着が破綻することで膿疱や痂皮が生じる自己免疫性皮膚疾患です。
免疫が誤って皮膚の細胞を攻撃し、細胞同士の「のりづけ」のような構造(デスモソーム)を壊してしまいます。

犬では「デスモコリン1(Dsc1)」などが自己抗原として知られていますが、
猫ではまだどの分子が標的抗原なのかは明確になっていません📚
このあたりは今後の研究が期待される分野です。


🧴 皮膚症状の特徴

Bizikovaらのレビュー(BMC Vet Res. 2019)によると、
猫のPFでは皮膚病変が1か所に限局している例は約19%、2か所以上に及ぶ例が約81%と報告されています。

よくみられる部位は以下のとおりです:

  • 顔や耳介(特に外側・内側の両面)
  • 鼻鏡や口周囲
  • 爪床や肉球
  • 乳頭周囲

多くの症例で左右対称性の膿疱・痂皮が認められます。
膿疱は壊れやすく、すぐにびらんやかさぶたに変化するため、
初診時には「膿疱」を見逃してしまうこともあります。


🩺 全身症状も比較的多い

皮膚症状に加えて、猫では全身的な不調を伴うことが多い点が犬との違いです。

報告によると、

  • 無気力・元気消失:約60%
  • 発熱:約30%

で認められています🤔
重度の炎症や感染を伴うと、さらに症状が強く出ることもあります。


💊 トリガーとなる要因

猫のPFの多くは自然発症型ですが、まれに

  • 特定の薬剤(抗生剤・抗真菌薬など)
  • ワクチン接種後
  • 腫瘍関連(副腫瘍性反応)

を契機に発症するケースも報告されています。
問診ではこれらの可能性も念頭に置くことが重要です。


✏️ まとめ

項目猫の落葉状天疱瘡の特徴
発症機序免疫が表皮細胞間接着を攻撃(標的抗原は未特定)
病変分布限局性19%、多部位性81%
好発部位顔・耳介・爪床・乳頭周囲など
全身症状無気力(60%)、発熱(30%)など
誘因ほとんどは不明。薬剤、ワクチン、腫瘍などの場合も!

次回は、治療法と管理のポイントについて整理します。
猫の落葉状天疱瘡は長期管理が必要な疾患ですが、
正しい診断と適切な治療で良好なコントロールが可能です🐾


猫の皮膚病でお困りの際は、まずはお気軽にご連絡ください。