こんにちは。歯科診療を担当している獣医師の森田です。
今回は、口腔鼻腔瘻(こうくうびくうろう)という病態に至ったトイプードルの重度歯周病の症例をご紹介します。
歯周病が進行すると、歯だけでなく周囲の組織や鼻腔にまで影響を及ぼすことがあります。
このコラムでは、口腔鼻腔瘻の原因や症状、治療方法について詳しく解説します。
※血液や膿が映る画像を含む場合があります。苦手な方は閲覧にご注意ください。
🐶 症例紹介:10歳のトイプードル
今回の患者は、*10歳の小型犬(トイプードル)*です。
口臭を主訴に来院され、口腔内を確認したところ、重度の歯石沈着を認めました。

麻酔下での口腔内精査と歯科レントゲンにて、上顎骨の骨融解を認め、鼻腔との交通(口腔鼻腔瘻)**が確認されました。

なお、歯肉退縮は明らかでなかったため、歯周病の進行が外見からはわかりにくい「隠れ歯周病」のパターンといえます。

🔍 口腔鼻腔瘻とは?|症状と原因
**口腔鼻腔瘻(Oronasal Fistula)**とは、歯周病や外傷、抜歯後の合併症などが原因で、口腔と鼻腔が異常につながってしまう状態です。
よくある症状:
- 鼻水・くしゃみ・鼻出血
- 食事中に鼻からフードや水が逆流する
- 強い口臭
- 慢性鼻炎のような症状(治りにくい)
特に上顎犬歯部は、歯根が鼻腔に近接しているためリスクが高い部位です。
早期に発見し、瘻孔(ろうこう)を手術で閉鎖する必要があります。
🛠 治療内容:抜歯とトライアンギュラーフラップの縫合
本症例では、感染源である犬歯を慎重に抜歯し、**口腔鼻腔瘻を閉鎖するための粘膜フラップ手術(トライアンギュラーフラップ)**を実施しました。



術後は適切な縫合・止血処置を行い、瘻孔の完全閉鎖を目指しました。
術後の経過は良好で、くしゃみ・鼻水・口臭などの症状は消失しました。
❗歯周病を放置すると…
歯周病を放置すると、以下のような深刻な合併症を招くリスクがあります:
- 歯槽骨の融解 → 歯の動揺や脱落
- 根尖膿瘍 → 顎の骨に感染が拡大
- 口腔鼻腔瘻 → 慢性的な鼻炎・くしゃみ・鼻漏
とくに小型犬は歯が密集しており、歯周病が進行しやすい傾向があるため、日々のケアと定期的な歯科検診が重要です。
✅ まとめ|口腔外科が必要な場合も早期対応を
このような口腔鼻腔瘻を伴う重度歯周病の治療では、歯科外科のスキルと確実な診断が求められます。
「高齢だから麻酔が不安…」というご相談も多いですが、当院では麻酔前の血液検査・心エコー・胸部X線を徹底し、安全な麻酔管理に努めています。
🏥 歯周病や鼻水・口臭が気になる方は
東京動物皮膚科センター/神宮前動物病院では、重度歯周病や口腔鼻腔瘻の外科的治療に対応しています。
早期発見・早期治療で、大切な歯と健康を守りましょう。
📞 ご予約・ご相談はこちら:03-3403-8012(歯科診療担当:森田)